「卵子凍結」経験者に聞いた…採卵にかかった費用は「50万円以上」が6割 経済的負担がハードルに

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

「卵子凍結」とは、将来の体外受精を見据えて未受精卵を凍結する技術で、女性の妊孕力(にんようりょく・妊娠する力)を維持する有用な手段です。株式会社グレイスグループ(東京都渋谷区)が、健康な女性が将来の妊娠に備えて卵子凍結を行う「社会的適応による卵子凍結」について調査をしたところ、採卵にかかった費用は、約6割の人が「50万円以上」と回答したそうです。

調査は2020年8月~2022年12月の期間に、同社の卵子凍結保管サービス『グレイスバンク』を利用した卵子凍結経験者(※登録者総数非公開)を対象としてインターネット上で実施され、71人から回答を得たといいます。

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はじめに、回答者の年代は「30~34歳」(23.9%)、「35~39歳」(53.5%)と30代が多く、職業は「会社員」(71.8%)が7割。また、自身の年収は「600~799万円」(28.2%)、「400~599万円」(25.4%)、「800~899万円」(18.3%)、「400万円未満」(15.5%)という結果になりました。

次に、「卵子凍結をしようと思ったきっかけ」を聞いたところ、「自身の年齢を考慮し、将来の選択肢を増やしたいと思った」「AMH(※)検査を受けた結果、実年齢より数値が低く不安に思った」「キャリアとライフプランの両立のため」という声が多かったほか、「勤めている会社が卵子凍結の福利厚生を導入したから」という声が寄せられたそうです。
(※)AMH:アンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)の略で、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンであり、血中のAMH値は、卵巣内にどれぐらい卵子の数が残っているかを反映すると考えられています。

卵子凍結には、検査費用や採卵・凍結費用、保管費用がかかるほか、将来利用する際には、保管した卵子をクリニックへ出庫する費用、体外受精費用などが発生します。

そこで、「採卵にかかった費用(クリニックに支払った費用)」を聞いたところ、多い順に「70万円以上」(37%)、「40~49万円」(35%)、「50~59万円」(20%)と、50万円以上が約6割という結果に。採卵費用(クリニックに支払った費用)を「高い」と感じた人は76%を占め、経済的な負担は卵子凍結を決断する際のハードルであることがうかがえたといいます。

また、「卵子凍結における痛みレベル」を5段階(※)で評価してもらったところ、「レベル2」が最多の31%で、約6割の人が「レベル1~3」と評価しており、痛みが原因で卵子凍結を躊躇する人も多いなか、痛みの感じ方に個人差はあるものの、実際は小~中程度の痛みと感じた人が多いことが分かりました。

ちなみに、「卵子凍結の一連の流れでもっとも痛みを感じたこと」は、「採卵手術」(42.3%)が最も多く、次いで「術後の子宮・おなかの腫れ」(28.2%)、「排卵誘発時の注射」(12.7%)が挙げられたそうです。
※レベル1が「痛みを感じなかった」、レベル5が「痛みを感じた」の5段階での選択式

さらに、「卵子凍結の一連の流れで一番大変だった・つらかった・困ったこと」では、「痛みや体への負担・不調」(26.8%)、「自己注射の怖さ・精神的負担」(19.7%)よりも、「通院のための仕事の調整」(約4割)をあげる人の方が多い結果となり、「実際の通院の回数(カウンセリングを含む)」においても、「7回以上」(42.3%)、「5回」(22.5%)、「3回以内」(14.1%)、「6回」(12.7%)など、約2週間のうちに複数回必要となる通院予定の調整が大変だった人が多いことがうかがえたといいます。

続いて、「卵子凍結全体を通じての満足度」を聞いたところ、66%の人が「満足している」と回答し、「自分自身を見直すきっかけになり、自分をより大切に思えるようになった」「年齢に対する焦りを解消できた」「将来妊娠したときにもっと満足度が高まると思う」という声が多く寄せられました。

その一方で、「想定以上に費用が高かった」「思ったよりも採卵できた卵子の個数が少なかった」という声も見受けられたそうです。

最後に、「卵子凍結を友人に勧めたいと思いますか」と聞いたところ、約7割の人が「勧めたい」と回答し、「満足度が高かったので、同じ年代で同じ悩みを抱えた友人に将来の選択肢のひとつとして紹介したい」「まずはカラダの状態を知るためにもAMH検査からでも勧めたい」「まずは少しでも若いうちに正確な情報を知り、自分なりの考えをもつことを強くお勧めしたい」という声が寄せられたといいます。

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