「精子、ほぼ動いていない」と言われ…夫が自身の不妊について心情を告白 「男も検査して向き合うべき」

ししまる555 ししまる555

『「精子、ほぼ動いてない」半年前。検査の結果。ショックだった。妻と話し合い、わずかな希望に賭けた。いま、胚培養液の中の命が育つのを、毎日願ってる。男が不妊を語るな?ちがう。原因が男にあることも多い。ココロもカラダも女性より負担が少ないからこそ、男が真剣に向き合う。2人で乗り越える。』とTwitterに投稿したのは、しゃくさん(@shakunone)。

  しゃくさんは続いて、『精子を出すの恥ずかしい?きっと自分には関係ない?僕も思ってた。でも甘かった。5年前。はじめて検査した時より数値は悪くなった。思ったより時間はナイ(かもしれない)と知ってほしい。あと、誰がなんと言おうと、女性の負担の方が大きい。男が「検査したくない」とか、グズグズ言ってちゃダメ。』とツイート。

  男性不妊の認知が高まってきているとはいえ、男性が自身の不妊について告白するケースは珍しく、こちらツイートは2.2万いいねを集め、リプライでは男性からも女性からも多くの賛同の声を得ました。

「妊娠して、生まれて、元気に育つというのは、奇跡の連続なんだと思わされます。尊いです。向き合うしゃくさんのもとにも、キセキが訪れますように。」

「仕事柄、不妊のご相談も受けますが、ほとんどが奥様からのお話で旦那様が協力してくださらない…と悩んでる方が多い現実。だからこそ、こういう男性からの発信で救われる方も多いはず!陰ながら応援してます。」

「『旦那が協力しようとしない、理解しようとしない』という理由で、妊娠を諦めた友人がいます。しゃくさんのような心を寄せられる旦那さまが発信してくださるのは、捨てられないプライドを持つ男性の方々にとって心強いと思います。」

  以下、これまでの妊活と不妊治療の経緯について、しゃくさんに聞きました。

 ◇ ◇ ◇

 現在、私が35才、妻が32才となりますが、まだ子どもは授かっておらず、不妊治療にて体外受精を行っています。結婚したのは8年前、私が27歳、妻が24歳の時で、結婚当初は、夫の私が30歳になるまでには子供が欲しいね、と夫婦で話していました。

 ただ、実際は全くその兆しがありませんでした。まず妻が産婦人科へ検査に行き、生理周期をみながら、タイミング法で妊娠を試みていました。今思い返せば、このときは男の自分には問題はないし、きっといつか自然に子供ができるだろうと思っていました。

 妻はしばらく定期的に産婦人科へ通っていましたが、私は一度も行っていませんでした。しかし5年前のある日、「病院の先生に、旦那さんの精子も調べましょうって言われた」と妻から話がありました。お恥ずかしながら、不妊だとしても自分に原因があるはずがないと思い込んでいたのが正直なところです。ですので、検査が恥ずかしい気持ちも少しありましたが、私はあまり抵抗感を持たなかったので検査に行きました。

 しかし私の予想に反して、平均の数値よりも明らかに不良であるとの結果が出ました。正直、ショックでした。ただ自然妊娠の可能性はゼロではないと言われたので、引き続きタイミングなどの方法を取っていました。この時、すぐに体外受精などの方法に踏み出せなかったのはお金の問題もありました。でも結局のところ子供ができず、ズルズルと時間だけが過ぎてしまいました。

 そんな中、兄妹や親戚、友だちの妊娠や出産の報告を受けるたびに焦りを感じるようになってきたため、不妊治療専門のクリニックを紹介してもらいました。しかし焦りの反面、コロナ禍やお金のことを理由に、なかなか治療に踏み切れない自分たちがいました。それでも、「悠長にしていられるほど若くない」と夫婦で話し合い、本格的に通い始めました。この時、不妊治療の保険適用が始まったことも背中を押す要因になったのは事実です。

 その時に再度行った精液検査で、「旦那さんの精子がほとんど動いていません」と言われました。5年前の検査結果と比べて、更に数値が悪化していました。それでも、たまたまかもしれない、体調のせいかもしれない……色々なことを考えて、後日また検査をしましたが、残念ながらほとんど数値は変わりませんでした。全くのゼロではないけれど、正常な精子数はかなり少ないと言われ、絶望的な気持ちになりました。

 医師からは、原因はおそらく体質的なもので、日頃の生活や食生活を整えることで良い方向に向かう可能性はあるけれど、根本的に解決するわけではないかもしれないと言われました。そのため、タイミング法や人工授精の方法は諦めて、体外受精一択で不妊治療を進めることにしました。

 恐らく、まだまだ世の中の男性にとっては、不妊の原因=女性という意識を持っている方も多いのではないかと思います。正確に言えば、男の自分には関係ない、という意識かもしれません。検査で精子を出すのが恥ずかしい?きっと自分には関係ない?僕もそう思っていた1人です。でも甘かったです。過去の自分に蹴りを入れてやりたいです。

 もっと言えば、思ったより時間はないかもしれません。妊娠・出産・不妊治療において、カラダの負担は女性の方が大きいけど、心の負担は男女に差はない、と言われたことがあります。ただ、僕は絶対に、誰がなんと言おうと、心の負担も女性の方が大きいと思っています。それは男が無責任だとか言っているわけではなくて、妊娠・出産の性質上の話だと思います。だからこそ、男が「検査したくない」とか言ってちゃダメだと思います。まずは現状の把握が大切です。

 自身の体験からも、そういった思いを少しでも伝えられたらと思い、妻にも添削してもらったうえでツイートしました。こうしてWEBニュースに取り上げていただくことや内容についても、事前に妻に相談し、了承をもらっています。こうしてカミングアウトすることが、誰かの心を少しでも軽くすることができたり、背中を押すことができたなら、意味があるかと思っています。

 ◇ ◇ ◇

 不妊症のうち、不妊の原因が男女共にある場合、もしくは男性のみにある場合を合算すると、約半数近くにのぼると言われています。まずは原因を特定させることができれば、ベストな治療法を選択できるため、検査・不妊治療は夫婦共にスタートさせるのがもっとも望ましいといえます。夫が妊活・不妊治療に協力的であり、妻を理解し寄り添うことが、妻の心と体を整えることにつながり、近道になるのかもしれません。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース