「本丸は指示役の上にいる黒幕」元刑事が指摘 〝ルフィ〟容疑者が比国で装着した「防弾チョッキ」の意味とは

小川 泰平 小川 泰平

 フィリピンの入管施設収容中に「ルフィ」などと名乗り日本の広域強盗事件を指示した疑いがある日本人容疑者4人のうち、警視庁は9日、特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で、強制送還された渡辺優樹(38)、小島智信(45)両容疑者を航空機内で逮捕した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、逮捕された容疑者の上に「本丸」となる〝黒幕〟が存在する可能性を指摘し、その根拠の一つとしてフィリピン国内での護送時に装着した「防弾チョッキ」を挙げた。

 7日に同容疑で逮捕された今村磨人(38)、藤田聖也(38)両容疑者に続く、渡辺、小島両容疑者の逮捕によって、広域強盗事件の指示役として浮上した4人全員の身柄が確保され、今後の捜査はさらに本格化していく。小川氏は「ここからがスタート」とした上で、4容疑者の逮捕で一連の犯罪の根が絶たれたわけではなく、その背後には、まだ「黒幕的な存在」があることを指摘した。

 小川氏は「今回、指示役とみられた4人の逮捕はスタート中のスタート。まだ、やっと始まったばかりです。フィリピンの収容所にいた者が日本の警察の手の内に来たわけですから、大きな第一歩ではあります」とした上で、「ただ、これで一連の事件が完結するとはとても思えない。この4人の上に『トップ』がいるのではないか。捜査の『本丸』はこの4人の上にいた『指示役に指示をする』者ではないか」と推測した。

 その根拠として、同氏は「今回、逮捕された4人の容疑者とも防弾チョッキを付けてフィリピンの収容所から空港まで行っています。この4人が本当にトップなら、彼らを狙う者はいないわけです。この4人が何かをしゃべると、そのもっと上にいる者に対して警察の手が回る可能性があるからです。その者はフィリピンにいる可能性があるし、もしくは日本にいたとしても、フィリピンにいる手下に指示ができる者です。フィリピンは銃社会なので、そういったこと(口封じで射殺など)が可能だということをフィリピンの警察も把握していて、厳重な警戒で空港まで容疑者を護送した。その点でも彼らの背後に黒幕がいることの裏付けになるのではないかと私は見ています」と説明した。

 また、小川氏は一連の犯行における「情報屋」の存在も指摘した。同氏は「注目して欲しいのは情報屋。この情報屋なくして、この犯罪は成立しません」という。2年前に愛知県で発生した窃盗事件で、愛知県警は「2階の物置に金」などと書かれていたメモ、手書きされた室内の間取り図などを窃盗グループから押収しており、それらは〝情報屋〟から流れたとみられている。

 小川氏は「こういった情報を取って、売ることを生業としているグループがいるのも現実です。どこから情報が漏れるかというと、これまであった事例ですと、自宅に処分したくても、重たくて外に持ち出せない物があって困っている高齢者を探して、リサイクル業者などを装った者が『不要な物を引き取ります』と言葉巧みに複数で室内に入って金庫などの置き場所を確認し、それを情報として転売するわけです。その情報が正確であれば、そのグループから買う情報は確度が高いとして高額になったりします」と解説した。

 防犯対策として、同氏は「通常の業者なら社名などを明らかにします。突然、やって来て『不要な物があったら引き取ります』などと言ってきても絶対に家には上げないことです。また、バインダーを持って『役所の〇〇課から来た』という事例もある。あらかじめ自治体の連絡先を把握しておいて、そういった者が来れば確認できるようにすることです」と呼びかけた。

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【小川泰平の事件考察室】元収容者が語るビクータン収容所 

https://youtu.be/tOG52N-V1T0

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