商店街に突如「隕石と化石の店」が登場、お薦めは150万円の… 誰が買うの?店主を直撃

山陰中央新報社 山陰中央新報社

 「隕石(いんせき)と化石の専門店」と、目を引く赤いのぼりが、米子市角盤町1丁目の国道9号沿いに現れた。いん石も化石も博物館に展示されているものと思ったが、「専門店」があるとは驚いた。興味を引かれ、店を訪ねた。

 店はJU米子高島屋のすぐそばにある。赤いのぼりと、店舗入り口の看板に、赤地に白文字で大きく書かれた「ジュラシック!」という店名が目印だ。

 店頭には「開店準備中」のお知らせがあり、まだオープンはしていないようだ。店の外から見える棚には、確かに生き物の歯や爪のような化石らしきものが見える。化石を店頭販売するというのは信じられない感じもするが、本物なのだろうか。 

世界各国の化石やいん石、最も高価なものは…

 店長の吉田寛さん(50)は「皆さんが博物館で見るような物と同じで、本物です」と笑った。

 吉田さんによると、化石や鉱物の愛好家は一定数おり、東京都や大阪府では「ミネラルショー」という即売会が開かれるほど。吉田さんは正式な海外の化石、いん石の市場から商品を仕入れていて、国内の博物館に納入することもあるという。店内には世界各国で見つかった化石やいん石をはじめ、鉱物も多く並んでいる。

 化石のエリアには、歴史の教科書や恐竜図鑑で見たままの化石がずらりと並ぶ。かつて海に住んでいた恐竜、首長竜の歯や首の骨、約50万年前に日本に生息したとされるナウマンゾウの牙、恐竜のふんの化石まである。中でも大型で状態も良い、海洋性は虫類「モササウルス」のあごの化石は、販売する化石の中で最も高価な100万円の値が付いている。

 化石は5万~20万円と高価なものが多いが、サメの歯や、約5億年前に繁栄した外骨格を持つ節足動物「三葉虫」の小さな化石は千円程度で販売する予定という。

 いん石の中で特に貴重なものは「パラサイトいん石」と呼ばれる、鉄と鉱石が混ざった宝石質のもの。いん石が地球に落下する際、含まれる鉱物が大気圏で焼けたり溶けたりすることできれいな模様になることがあるといい、店舗内で最も高いものは150万円。他にも鉄とニッケルででき、断面に筋のような独特の模様が入った「鉄いん石」(30万円)もある。品ぞろえは細かいものを合わせると約1万点に上るという。

趣味が高じて店舗持つまでに

 ただ、山陰両県で化石やいん石が人気という話は特に聞いたことがない。なぜ、米子市で専門店を始めようと思ったのだろうか。吉田さんは「半分商売、半分倉庫として開店を決めた」と理由を話した。

 幼少の頃から化石や鉱物に関心があり、米子市内でマッサージ店と脱毛店を経営する傍ら、趣味で収集やインターネット上での販売をしていた。会社の事務所一角に保管していた化石が増え続け、置き場に困っていたところ、知人から「所有するビルのテナントに入らないか」と打診があり、店舗兼倉庫としてオープンすることにしたという。

 2022年12月に商品の搬入や整備を始めると、物珍しそうに店舗内をのぞく人や「見学してもいいですか」と声をかける人、実際に購入を希望する人までいて、一定の手応えを感じたという。吉田さんは「珍しい店がある、と口コミなどで知られていってほしい。博物館代わりに見ていくだけでも歓迎なので、子どもや友人と暇つぶしにでも見に来てもらえたらうれしい」と来店を促した。

 目を引くのぼりがある謎の店舗は、のぼりに書かれた内容そのままの専門店だった。珍しい化石やいん石を間近で見ることで、古代の神秘や宇宙のロマンを感じられるかもしれない。

 化石やいん石はほんの少しでも欠けると価値が落ちる貴重品で、厳重な設備が必要。整備に時間がかかるため、オープンはもう少し先になる予定だという。オープン前の専門店「ジュラシック!」は、吉田さんが店内で作業している時のみ見学ができる。

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