ホームドア、阪急電車で駅へ輸送 深夜の春日野道駅、設置作業に密着 わずか幅2.5メートルのところも…激狭ホームの安全性向上

新田 浩之 新田 浩之

阪急電鉄は1月27日深夜から未明にかけて神戸本線・春日野道駅において可動式ホーム柵(ホームドア)設置工事の模様を報道公開しました。春日野道駅はホーム幅が狭いこともあり、設置工事に注目が集まりました。

ホーム幅員が狭い阪急春日野道駅

春日野道駅は阪急神戸本線にあり、神戸三宮駅の東隣に位置します。ホームは島式1面2線となり、ホーム・通路・階段の幅員は2.5~3.8メートルしかありません。また、春日野道駅の北側には地域の主要道路である山手幹線、南側にはJR神戸線(東海道本線)があり、ホーム幅員の拡張は難しいのが実態です。

またエレベーターなどのバリアフリー設備もなく、高齢者や体の不自由な方には使いづらい駅でありました。そこで阪急は2021年度春頃から春日野道駅のバリアフリー工事に着手。2023年3月の完成を目指し、工事が進められています。

ちなみに、阪急春日野道駅から南約400mには阪神春日野道駅があります。阪神春日野道駅もホーム幅員が狭いことで有名でしたが、対向式ホームの新設などの改良工事を実施。2006年3月に完了しました。

可動式ホーム柵を9000系で運ぶ

取材当日は大阪梅田方に可動式ホーム柵の設置工事が行われました。西宮北口駅近くにある西宮車庫から春日野道駅までホーム柵を輸送しますが、当日使われた車両は9000系でした。

ホーム柵を車内中央に置き、その合間に報道陣が立つという感じ。列車は時速60キロほどで走り、淡々と各駅を通過します。

六甲駅では時間調整のため、数分間の停車。普段の運行では真ん中の通過線に停車することはないため、大変貴重な光景です。

西宮北口駅を出発して約20分後の24時35分頃に春日野道駅に到着しました。到着後は人海戦術で24基のホーム柵をホームへ運び出し、設置工事を行います。

春日野道駅はホーム幅員が狭いため、作業の進め方や各個人の役割分担などを事前に緻密に計画したとのこと。計画にあたっては十三駅・神戸三宮駅でのホーム設置工事の経験も活かされています。

設置が完了したら、社内で「定規」と呼ばれる測定器具のお出ましです。「定規」をレールに沿って動かし、ホーム柵が電車に接触せず、適度なスペースが確保されていることを確認します。

当日の工事により大阪梅田方に可動式ホーム柵は設置されましたが、本格稼働は3月中旬とのことです。

エレベーター専用の新改札口も設置

続いて西側(神戸三宮方)に設置される新しい改札口「西改札口(仮称)」も見学しました。

この改札口にはエレベーター専用の改札口となり、階段は設置されません。また多機能トイレも新設し、あらゆる利用者に対応した駅となります。現行の改札口も床や壁などの美装化を進め、新しく生まれ変わります。

春日野道駅周辺には病院が多く、病院によっては春日野道駅を経由する無料送迎バスも運行しています。バリアフリー化に伴い、春日野道駅を利用する通院客も増えるのではないでしょうか。

同じくホーム幅員が狭い中津駅はいかに

春日野道駅の他にホーム幅員が狭い駅として神戸本線・宝塚本線の中津駅が挙げられます。中津駅もバリアフリー工事が予定されています。担当者は「中津駅に関して具体的にはまだ決まっていないが、春日野道駅での経験を活かしたい」とコメントしました。

阪急は4月1日から国の「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用する形で、普通運賃を一律10円(大人)値上げします。この運賃改定により、駅のバリアフリー化が促進されます。筆者も阪急の一利用者として、バリアフリー化が進んでいることを目の当たりにでき、運賃改定に納得した取材となりました。

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