駅構内に貼られたポスター「そろそろ地元に愛されたい」 自虐的な叫びは一体? 掲出したバレーチームに聞いた

門倉 早希 門倉 早希

先日駅のホームで、あるポスターについ見入ってしまいました。女子バレーボール選手が写ったそのポスターには、「#そろそろ地元に愛されたい」…この自虐的なキャッチコピーは一体?

よく見ると、ポスターはJTマーヴェラスという女子バレーボールチームのもので、件の哀愁漂うコピーが大きく書かれています。「地元」という漢字の上には「大阪・兵庫」とも。兵庫県にバレーボールチームがあるの?

30年近く兵庫県で暮らしている記者ですが、それは初耳。認知度の低さを窺がわせるコピーがなんともいじらしく、電車を待つ間にすみずみまで見てしまいました。しかし、なぜこんなに自虐的なコピーを採用したのでしょうか。同チームの広報担当・城村さんに話を聞きました。

JTマーヴェラス広報担当者「まずは知ってほしい」

JTマーヴェラスはホームを大阪市に置くチーム。JTバレーボール部体育館のある西宮市をサブホームとしています。しかしながら、地元である大阪市、西宮市民からの認知度は芳しくなかったんだとか。

その理由を尋ねると、城村さんは「恐らくですが、バレーボールがテレビで放送される頻度が減ったことで、バレーボール全体として以前より認知度が下がっているのかもしれません」と推測。JTマーヴェラスは地域住民からの認知度も低く、地元ファンの獲得に繋がっていなかったといいます。

そこで一念発起して、ポスターの作成に乗り出したJT。「まずは知ってほしいという思いからあのキャッチコピーを考えました。これまでポスターなどを作る際はキャッチコピーも正統派なものが多かったのですが、あえて自虐的なコピーにすることで多くの方の目に留まるのではと思い、採用しました」(城村さん)。

狙い通り効果はてきめんで、駅のホームなどに掲出されるや、電話やメールで「地元にバレーボールチームがあることを初めて知った」といった市民の声が届くように。また、ハッシュタグを意識してつけた「#」のおかげで、SNSでもポスターの写真とともに投稿されはじめたといいます。城村さんは「(JTマーヴェラスの)選手も気に入ってくれたようで、JT社内でもキャッチーで良いねと好評でした」と語ります。

こんな魅力があるチームだった

JTマーヴェラスの前身となる9人制バレーボール同好会は、1956年に誕生。のちにJTマーヴェラスが誕生してからは、竹下佳江さんや大友愛さん、栗原恵さんなどの有名選手たちが在籍したことも。監督を務めるのは、元全日本女子バレーボールチーム代表の吉原知子氏です。

また、同チームはV1リーグで2019-20、2020-21と連続優勝、2021-22では準優勝に輝いた実績を持つ強豪チーム。2022年度のバレーボール女子日本代表チームには、同チームから籾井あき選手、林琴奈選手、西川有喜選手、田中瑞稀選手の4名が選抜されています。

知ってもらう機会が少ないだけで、魅力がたくさんあるJTマーヴェラス。広報担当者は、「ポスターやホームページなどで知っていただいた方もいらっしゃるかと思います。ぜひ、試合会場に足を運んでいただき、JTマーヴェラスを応援してもらえたらうれしいです!」と呼びかけました。

「#そろそろ地元に愛されたい」ポスターは、阪神電車の今津駅、尼崎駅、大阪梅田駅、大阪メトロの我孫子駅や朝潮橋駅などに掲出。なかでも、練習する体育館の最寄り駅である今津駅には、大きな広告が貼り出されています。

リーグの試合はホームとアウェイ両方で開催されており、関西はもちろん、関東など試合は各地でおこなわれています。

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