「食事は?」大阪・淀川をさまようクジラ「よどちゃん」を心配する声も…「エサがなくても1か月は大丈夫」と専門家

山脇 未菜美 山脇 未菜美

 大阪市内の淀川河口にクジラの「よどちゃん」が迷い込んで11日夕方で50時間が経過した。現地には珍しい姿を一目見ようとたくさんの人が詰めかけ、カメラを向けていた。一方で、「ご飯を食べられているの?」「海にちゃんと帰れるかな…」といった心配の声も。専門家は「クジラは絶食できて、えさがなくても体に蓄えた脂肪で1カ月ほど生き延びられる。20日間ほどいた後、海に帰った例もある」と説明する。

 よどちゃんが見られるのは、西淀川区の海岸沿いにある「矢倉緑地」。クジラは、阪神高速湾岸線の橋近くをさまよっている。体長8メートルで、マッコウクジラとみられる。北極から南極まで広域に生息する。200メートル以上の深さまでに潜り、ダイオウイカを主食とする。

 クジラの生態系に詳しい大阪市立自然史博物館によると、ここ30年ほど、大阪湾に大きめの個体が入ってきた場合、全て海に無事に帰っていっているという。5年前の2009年5月には、和歌山県田辺市の内ノ浦湾に体長16メートルのマッコウクジラが入り込んだ。えさはほとんど食べていなかったそうだが、20日後に突然、帰っていった。担当者は「無理やり返そうとすると、なかなかうまくいかない。とにかく見守るしかないですね」と話す。

「呼吸が13~14秒に1回。弱っている?」と心配の声

 「おったおった」「潮吹いてるわ」。矢倉緑地には人々が入れ替わりに集まり、歓声が響いた。淀川の環境委員を務める守口市の男性(66)は、60倍まで見えるフィールドスコープを持参。見せてもらった女性(79)は「背中としっぽの丸い感じが見えた!」と大喜び。「無事に帰ってほしい」とも話していた。

 一方、男性によると、よどちゃんの呼吸数が、13~14秒に1回の間隔になっていたという。「塩分濃度もきっと、淀川と海とは違う。弱っているんじゃないか」と心配していた。

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