「この光景、前にも見た気がする」デジャヴはどうして起こる? 記憶のメカニズムに関係

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦

 「この光景、前にも見た気がする」「ここ、前にも来た気がする」。初めての体験なのに、既にどこかで経験したことがあるように感じる現象を「デジャヴ」と言います。フランス語の「既に見たことがある」という言葉が語源です。日本語では「既視感」と呼びます。フランスの超心理学者エミール・ブワラックがシカゴ大学在学中に執筆した「超心理学の将来」という書籍で提唱されました。すごい大学生ですね。

 今でこそ皆さんご存知の現象ですが、昔は精神病の発病初期と考えられていた頃もあります。脳のメカニズムの研究が進み、色々な説で原因が解明されてます。もっとも、どれが正しいかまでは判っていませんがいちばん信憑性のある理屈をご紹介します。

 「いつ/どこで/誰が/何の目的で/何をした」を脳は細分化して記憶しています。断片的な記憶と、目の前に起こっていることがごちゃ混ぜになって、デジャヴが起こるのです。

 例えば「A子とB子が/暑い夏の日/ジュースを/飲みながら/談笑していた」と「A子とC男が/雪の降る日に/コーヒーを/すすりながら/喧嘩していた」という異なるエピソードを覚えているとします。これらの記憶は「/」で細分化されて脳に保存されています。

 そこに「B子とC男が/暑い夏の日/コーヒーを/飲みながら/喧嘩していた」という新たな場面に遭遇すると、脳が断片的な記憶を適当に繋ぎ合わせてしまいデジャヴが引き起こされまます。過去の体験を細分化して断片的に保存されている記憶を脳が勝手に繋ぎ合わせて、いちど経験したことだと誤認しているのです。デジャヴを感じた時はなんとなくモヤモヤするものですが、メカニズムが判れば逆に楽しいかもですね。

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