誰もが持っている長寿遺伝子 4割のカロリー制限で働き始める 目覚めさせるサプリも

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦

 長寿遺伝子という言葉を耳にされた方も多いでしょう。サーチュイン遺伝子もしくは飢餓遺伝子とも呼ばれるこの遺伝子は、寿命を延ばす効果があり、まさに「長生き遺伝子」なのです。

 長寿遺伝子は約20年前、米マサチューセッツ工科大学のガレンテ教授が発見しました。長寿遺伝子が作り出す酵素であるサーチュインは、老化の原因となる活性酸素を消去し、免疫細胞を正常化。活性酸素による体の酸化を防ぎ、免疫力・抗酸化力も上がり、細胞の若返りや長生きにつながります。そのメカニズムもほぼ解明されていますが、それを説明すると紙面一杯でも足りません。

 現在では哺乳類にはSIRT1からSIRT7まで7種類のサーチュインがあり、それぞれの異なる特性も判っています。特に重要とされているSIRT1は、インスリン分泌を促し、糖や脂肪の代謝を上げ、神経細胞を守って記憶や行動を制御するなど、老化や寿命のコントロールに深く関与しています。

 長寿遺伝子は誰もが持っていますが、ほとんどの場合、眠ったままで働いていません。食事のカロリーを制限し、体を一種の飢餓状態にすると長寿遺伝子が働きはじめます。これは生物が常に飢餓状態を乗り越えてきたことに関係しているのです。この遺伝子の発現度合を測定する検査も多種あり、多くの医療機関で実施されています。

 マウスによる実験では、カロリーを60%に抑えた場合に、最も寿命が伸びるとされていますが、4割のカロリー制限は大変です。そこで、長寿遺伝子を目覚めさせる「レスベラトロール」「NMN」「デアザフラビン」などのサプリメントが出回っています。ネットで検索してみていただけば、その数の多さに驚きますよ。

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