声優・三石琴乃も動いた!「インボイス反対」に広がる連帯 「文化守りたい」10月導入を前にフリーランスの会が合作動画で対抗

黒川 裕生 黒川 裕生

今年10月に導入予定のインボイス制度に反対する人たちが、粘り強く声を上げ続けている。1月3日には、アニメ「美少女戦士セーラームーン」月野うさぎ役や「新世紀エヴァンゲリオン」葛城ミサト役などで知られる声優・ナレーターの三石琴乃さんが声で参加した「STOPインボイス」を呼び掛ける約20秒の短い動画を公開。関係者は「今が正念場。あらゆる人たちと連帯し、制度で打撃を受ける現場の声を届けたい」と力を込める。

インボイス制度に対しては、課税事業者への転換を迫られる免税事業者(年間の売上高が1000万円以下で、消費税が免除されている)らが中心となり、「実質的な増税だ」として反対を表明。中でもフリーランスが多い業界の危機感は深刻で、例えばアニメ業界では声優の甲斐田裕子さん、咲野俊介さん、岡本麻弥さんが設立したグループ「VOICTION」が現場の生の声を集めて発信したり、政治家に陳情したりするなど、問題点を周知すべく精力的な活動を展開している。

今回の動画には三石さんのほか、漫画「空挺ドラゴンズ」で知られる桑原体矩さん、アニメ「るろうに剣心」キャラクターデザイン・総作画監督などを務めるアニメーターの西位輝実さんらもイラストで参加。さらには建設業の一人親方や畜産業者、舞台俳優らも加わり、多種多様な業界の人たちが「ストーーーーーップ!インボイス!」と揃って声を上げる合作動画に仕上がっている。

動画の配信元である「インボイス制度を考えるフリーランスの会」発起人でライターの小泉なつみさんは「インボイス制度の影響を受ける人は多岐に及びます。というか、むしろ、日本で暮らす人で無関係な人は一人もいないと、我々は考えます。その一方、制度の認知度は低く、インボイス制度の根幹である『消費税』に関しても誤解が多いのが現状です。そんな状況で今年10月に始まろうとしているインボイス制度に『STOP!』をかけるべく、思い思いの表現でインボイス制度に声を上げる動画を作りました。今後も、第2弾、第3弾と続けてリリースしていきたいと思っていますので、みなさま奮って、『#私もSTOPインボイス』で投稿をお願いします!」とコメント。

また、VOICTION共同代表を務める甲斐田さんは「昨年8月に発足した声優の有志グループ『VOICTION』では、当事者の声を国会やメディアに届け、文化を衰退させる危険性をはらむインボイス制度の問題点を発信してきました。今ではアニメ・演劇・漫画の団体も立ち上がり、文化を守るためにそれぞれが活動をしています」とした上で、「10月から制度が開始されようとしている今年は、まさに活動の正念場です。メディアを主戦場とし、声の仕事をする私たちVOICTIONが今年やるべきことは、インボイス制度の打撃を受けるさまざまな業界の皆さんの声を、『拡声器』となって広げていくことだと考えます。『STOPインボイス』の名のもとにあらゆる方々と連帯し、その声を届けることができるよう、私たちも尽力していきます」と話す。

インボイス制度を考えるフリーランスの会は、今後もTwitterを中心に動画の素材を募集していく。詳細は同会のTwitterアカウント(@STOPINVOICE)などで。

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