この時期、スーパーマーケットに行くと、クリスマスケーキの販売やおせち料理の案内の掲示が行われています。スーパーに資材を卸す業者に勤務する女性は、スーパーの納入業者も半ば強制的にケーキやおせち料理を購入させられていると証言します。「もう勘弁してほしい」という女性。詳しい実態を聞きました。
女性は、西日本のある県でトレーや秤(はかり)、パック詰め機器などをスーパーに卸す問屋に勤めています。
年末になると、担当しているスーパーの担当者がケーキやおせち料理を買うよう求めてくると、女性は言います。しかも、スーパー1店に1個というレベルではありません。「スーパーの精肉や鮮魚、総菜、青果といった各担当からお願いされます。それぞれに注文しないといけないので大変です」と語ります。
特におせち料理は値段が高く、1万円程度の商品から、高いものでは3万円を超えることもあるといいます。以前には、ケーキとおせち料理3個ずつが女性宅に届き、ケーキは近所の人にお裾分けしたり、おせち料理は親戚と食べたりしたそうです。
では、なぜスーパーの担当者は納入業者に購入を求めるのでしょうか。女性は「スーパーの社員も1人あたりの販売ノルマを課せられているからだ」と言います。
年末だけでなく、節分の時期の巻きずしや「土用の丑の日」のうな重などでも同じように購入を求められます。
しかし、納入業者として購入を断ることはできないのでしょうか。
「かつて土用の丑(うし)の日を前に、容器の納入業者2社でうな重の売り上げを競わせ、容器をどちらにするか決めた、というのは聞いたことがあります。小さなスーパーでも1件あたり100万円以上の売り上げがあります。その売り上げがなくなると思うと…」。女性は強気に出ることができない胸の内を明かします。
こうした出費は、会社の経費で全額を支払うことはできず、多くが自腹だそうです。「ボーナスの一部はクリスマスケーキやおせち料理の購入に消えていきます」
今年の場合、同僚と分担しながらケーキを5個、おせち料理を4個注文。女性宅にはケーキとおせち料理が一つずつ届くそうです。
女性は「スーパーも(女性の勤務先のような)問屋も、どちらかが苦しむのではなくて、お互いに売り上げが上がっていい関係がつくることができればいいなと思います」と提言します。
スーパーに詳しい「主婦っとサーベイ」の伯井裕子さんと網島婦貴さんは、こうした商慣行について「あまりに旧態依然としています。クリスマスケーキやおせち料理は『晴れの日』の商材だけに、お客としてもそんな習わしがあると知ると、いい気持ちにならないです」と見直しを求めます。