新潟県で記録的な大雪となっています。広い地域で停電が発生しており、一部では列車も運休に。雪崩や路面の凍結による事故が予想されることから、気象庁が注意を呼び掛けています。
同県西部に位置する島・佐渡島でも約5000戸で停電が発生。そんななか、島の中心部にある宿泊施設「たびのホテル佐渡」が、島民に向けツイッターでこう投稿しました。
「停電地域の皆様へ
本日も大浴場無料ご案内いたします。
道が悪いですので、こちらまで来ていただきますことも大変と思いますが、暖かい時間をお過ごしにいらしてください。
復旧のために尽力くださっています作業者様も、ぜひに。
#佐渡島民様へ」
積雪で大変な状況にも関わらず、あたたかい発信をおこなった同ホテル。停電地域の人へ大浴場を無料提供した理由など、話を聞きました。
支配人「特別なことはしていない」
「たびのホテル佐渡」では、停電地域に住む人へ昨日の朝から大浴場を無料で提供。幸い、ホテルのある島の中心部は電力が安定しており、既に島内の停電地域から20人以上が大浴場を利用しにホテルを訪ねたといいます。
「私は20年以上前に佐渡に移住してきたのですが、このレベルの雪は見たことがないくらいです。災害級の大雪です」と話すのは同ホテル支配人の橋本さん。
大浴場の無料提供については、「大雪の影響で道が危険な状態になったり、通行止めになったという情報が入ってきて。その翌朝には5000戸以上で停電と聞き、すぐにお風呂の準備を始めました」と語ります。
ホテルでは今回の大規模停電に際し、「携帯の充電 ご自由にどうぞ」と電源タップの提供、宿泊や入浴利用なしでもコインランドリーの使用を許可するなど、地域の人に寄り添ったサービスを実施。あたたかい心遣いにツイッターでは「ありがとう」「優しい心遣い」と胸を打たれた人もいるようです。
一方で、「特別なことをしたつもりはまったくなくて」と橋本支配人。「というのも、佐渡市の防災課とも日頃から連携を取っていて、こういったことはよくやっているんです。以前、ホテルの近くで火災があった際も同様のことをしました。ほかにも、島の中には独居老人の方もいらっしゃるのでそういった方の宿泊や、自主避難協定で災害時に利用していただいたり」。
自主避難協定とは、自然災害に際し自宅にいることに不安がある人で自主的に避難する場合、自主避難場所として佐渡旅館連盟加盟ホテルに通常料金よりも割安で宿泊できるというもの。同ホテルも佐渡旅館連盟加盟ホテルであり、今回の豪雪でも、この自主避難協定での宿泊があったといいます。
地元住民からすれば大変助かる大浴場の無料提供サービスや自主避難協定の制度。支配人は「いつものことをやっているだけですよ」と謙遜しつつも、その口ぶりからは佐渡市への愛情が伝わってきました。
「宿泊はもちろん、日帰り入浴をしていただいたり、地域の方々には普段とてもお世話になっていますので、お役に立てるならという恩返しの気持ちでこういった取り組みをしています。こういったことがきっかけで当ホテルを知ってくださる機会になれば、ありがたいですね」(橋本支配人)