いくつになっても働きたい―。そんな風に考えるシニア層の人もいることと思います。そこで、全国の60歳以上の男女250人と、企業の経営者、または管理職の男女250人に「60歳以上の就労意識と企業の雇用実態」に関して調査をしたところ、60歳以上の約4割が「今後も働きたい」と回答しました。その一方で2020年4月以降、60歳以上を「採用していない」企業は6割超であることが分かったそうです。
株式会社スタッフサービス・ホールディングス(東京都千代田区)が、2022年10月にインターネット上で実施した調査です。
まず、60歳以上の男女250人に「今後も働きたいと思いますか」と聞いたところ、「働きたい」(17.2%)と「どちらかといえば働きたい」(24.8%)を合わせると42.0%の人が「今後も働きたいと思う」と回答しました。
また、「今後も働きたいと思う理由」としては、「お金を稼ぎたいから」(58.1%)が最多だったものの、「健康を維持したいから」(49.5%)、「社会・人とのつながりがほしいから」(41.9%)、「生きがいがほしいから」(24.8%)などが上位に挙げられ、金銭面以外の理由を挙げる人も見受けられたそうです。
続いて、「これから働く場合の職場条件」を聞いたところ、「希望する時間や日数で働ける」(44.0%)、「職場が近い」(43.2%)、「休暇が取りやすい」(24.8%)といった身体的な負担を軽減できる条件が上位に並んだほか、「経験を生かせる」(30.0%)、「知識・スキルが生かせる」(22.4%)など、これまで培ってきたキャリアを生かして働くことを希望する回答も挙げられたそうです。
また、「今後身に付けたいスキルや資格」については、「PCスキル」(27.6%)、「職務に関する資格技術」(21.6%)、「コミュニケーションスキル」(16.0%)が上位に挙げられました。
求職活動をしたことがある60歳以上の男女84人に「希望に合致する求人はありましたか」と聞いたところ、「希望求人があった」と回答した方は44.0%と半数以下に留まる結果となっていたそうです。
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次に、企業の経営者、または管理職の男女250人に「2020年4月以降に雇用形態にかかわらず60歳以上の方を採用しましたか」と聞いたところ、「採用していない」と回答した企業は62.0%、「採用した」と回答した企業は38.0%という結果になりました。
また、「採用していない理由」としては、「人手が足りていたから」(43.2%)が最多となったほか、「職場の従業員の年齢層と合わないと思うから」(13.5%)、「体力面が不安だから」(11.0%)、「社風に合わないと思うから」(7.7%)など、イメージ的な理由から採用を懸念している企業も見受けられたそうです。
一方、「採用した理由」については、「経験があるため」(57.9%)、「スキル・知識・資格があるため」(48.4%)が上位に挙げられ、これまでのキャリアが評価され、採用につながっている状況がうかがえたほか、「人手不足のため」(52.6%)、「意欲があるため」(35.8%)といった回答の割合も高くなっていたといいます。
続いて、「現在、60歳以上の社員自身が活用できる制度やルールは自社にありますか」と聞いたところ、「雇用形態を選べる(契約社員・業務委託・アルバイト・パート等)(28.4%)、「時短勤務ができる」(24.4%)、「就業日数や時間を選べる」(23.6%)といった回答があったものの、「当てはまるものはない」(45.6%)が最多となっていたそうです。
最後に、「60歳以上の社員も活用できる職業能力向上や資格取得につながる研修制度はありますか」と聞いたところ、「社内研修」(24.8%)、「資格取得時の奨励金」(16.0%)、「eラーニング・通信教育講座」(14.8%)といった回答があったものの、「当てはまるものはない」(59.2%)が最多となり、60歳以上の社員に向けた制度やルール、研修制度が充実している企業はあまり多くはないことがうかがえたといいます。
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調査を実施した同社は「企業において、働きたいと考える60歳以上の方が一定いることを踏まえ、就労に求める条件に配慮した多様な働き方を整えることで、人手不足解消の糸口になる可能性もあります」と述べています。
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【出典】
▽スタッフサービス・ホールディングス調べ