仕事をしていると、職場の人間関係にイライラすることはありませんか? 勤務先によっては、幅広い世代が在籍しており、意見の食い違いなどに不満を感じている人もいるでしょう。のぞみさん(広島県在住・40代、正社員)は、職場で幅を利かせていた年配の女性社員から、「自分の時代はこうだった」と、他人の境遇を理解しないまま、嫌味を言われて悩んだ経験があるといいます。
のぞみさんは20代の頃から事務員として働いていましたが、8年前に妊娠・出産。子どもが1歳になったタイミングで社会復帰しました。出産前は正社員でしたが、職場が自宅から離れており、勤務時間も長かったため、近所のスーパーでパート勤務をすることにしたそうです。
のぞみさんが勤務していたスーパーには、30〜50代の方が勤めていて、7割が女性スタッフでした。中でも、勤務歴15年のパートスタッフ(50代)は、いつも高圧的な態度でスタッフたちを見下していたため、陰で「お局様(おつぼねさま)」と呼ばれていました。
のぞみさんが入社してすぐの頃には、新人の教育業務を任されていたお局様。質問をしても、簡単なことしか教えてくれないにも関わらず、後になってから「ここ間違っているけど、なんで聞かないの?」などと嫌味を言ってくるタイプで、のぞみさんは悩んでいたそうです。
お局様の意地悪な言動は出勤するたびに増えていったので、店長にも相談していたのぞみさん。しかし、「そういうことがないように話しておくよ」と言いながら、一切お局様に注意しない店長の対応にも苦慮していました。
怒りがこみ上げてきたけれど…
ある日、品出ししているのぞみさんの近くにやってきたお局様。どうしたのかと思ったら、「いつもイスに座って仕事してたんだから、ずっと立ちっぱなしって辛いでしょ?」と、わざわざ嫌味っぽく言いに来たのだそうです。
のぞみさんは、出産前まで事務の仕事をしていたため、確かに小売業で働くのははじめてでした。しかし、のぞみさんは非常に横柄な態度をとられたと感じ、怒りがこみ上げてきたそうです。
それからも「ずっとパソコンしてたんだから、レジ打ちくらい簡単よね?機械の操作なんてどれも一緒でしょ?」などと、のぞみさんを傷つけるような発言を繰り返していたといいます。
しかし、何より一番辛かったのは「子どもの発熱で、仕事を休まないといけないとき」だったそうです。
のぞみさんがスーパーで働いていた当時は、感染症について敏感な時期ではなく、お局様は「私は子どもが熱を出したとき、お婆ちゃんに預かってもらって、出勤していたけど?」と、言ってきたそうです。
のぞみさんの夫は職場の責任者であるため急に仕事を休むのが難しく、また双方の両親も遠方に住んでおり気軽に預けることができません。そのため、子どもが熱を出したり、体の調子を崩したときは、のぞみさんは仕事を休み、子どもの看病をする必要がありました。
のぞみさんの家庭状況を知ってか知らずか、お局様はのぞみさんが子どもの都合で欠勤するたびに、嫌味を繰り返し言い続けました。そのたびにのぞみさんは「親に頼めるものなら頼んでいる。何も知らないくせに勝手なことを言わないで」という気持ちになったそうですが、感情をグッと堪え「仕事は仕事と割り切り、お局様の言葉は気にしないようにしていた」そうです。
お局様の言動のおかげで
のぞみさんは子どもが小学校へ入学した現在、別の会社に移り、再び事務の仕事をしています。
昔の職場を振り返ったのぞみさんは「あの頃、お局様に嫌味を言われ続けてとても辛かった。でも、お局様の言動のおかげで『他人の境遇や考え方を深く理解しよう』といった気持ちになった。今の職場では、お局様を反面教師として頼れる先輩になりたい」と、語ってくれました。