サルを追い払う「モンキードッグ」の認知度を高めようと、京都府宇治田原町は町内で活動している個人所有の2頭にビブスを贈った。増え続けている人里でのサル出没件数を減らそうと「犬猿の仲」の効果に期待しており、活躍のアピールにつなげる。
ビブスとは、スポーツなどのグループ分けの目的でベスト状の衣服にプリントやナンバリングを施したもの。サッカーW杯でもおなじみのアレだ。
モンキードッグは、野生のサルを追い払うよう訓練を受けた犬で、2005年に長野県大町市が初めて導入した。府内では10年度に京都市が導入し、左京区と西京区で計4頭が活動していた。
宇治田原町からビブスが贈られたのは、訓練を終えて今春から本格的に活動を始めた猟犬の子の6歳コタローと、元保護犬の5歳タケル。オレンジ色のビブスには大きく「モンキードッグ」と記され、サルの追い払い活動中であることを住民に周知する。
町内には35匹以上のサルがいる大きな群れが一つある。町民らでつくる「追い払い隊」が毎日、朝から夕方にかけて見回っている。2頭は追い払い隊からの要請を受けて出動する。11月初旬までに出動したのは計9回。人間では追いきれない山道を走る。
コタローの飼い主、中辻政隆さん(49)=同町禅定寺=は「サル被害はモンキードッグの力だけでは完全になくすことはできない。人間も未収穫の果樹がないようにするなど、対策を講じなければ」と警鐘を鳴らした上で、「犬たちが頑張っている姿を見てもらうことで、住民たちの意識を高めるきっかけになってほしい」と語った。