「これで母の味が残せる…」急逝した母の味を探し2年、「かつお節」の注文電話に14万人が涙 受け継がれる家庭の味に感動

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

「出汁」から気づく文化や面白さ

ーー大塚さんの考える「かつお節」や「お出汁」の魅力とは…?

「日本人にとって出汁はごくごく当たり前のもので、当たり前過ぎるからこそ、その『素晴らしさ』やある意味での『すごさ』が、わからなくなっています。出汁はかつお節・昆布・煮干し・干し椎茸がメインですが、このたった4種であっても、各地で驚くほど味わいが異なります。いちばん面白いのは、同じように昆布とかつお節を使っているのに、真逆の方向性を目指している大阪と東京。この理由は文化や歴史的背景の違いなんです」

ーーそのことについて、大塚さんはご自身のnoteにも書かれてますね。

「はい。なんで違うの?ということを知ると、各地のお料理の味が大きく違う理由に納得がいきます。そうすると<自分の口に合わない=美味しくない>ということではない、ということを理解できて、食や地域性を楽しむことができるようになります。旅行をした際、その土地のお食事がもっと楽しめるようになりますし、何より背景を知っていると、旅行の際に気づくことや楽しめるポイントの幅ももっと広がります。出汁を知る、地域の違いを知ることって、実はかなりいいことづくめなんです。

かつお節は、作り方や原料は同じです。なのに、原料の漁法・作り手・仕事の具合…そういったもので、まったく別物になっていくんです。出汁を引くとその違いが顕著になります。奥深くて、味の違いも意識しながら食べていただくと新しい発見があると思います」

◇ ◇

もともと和食の料理人だったという、大塚麻衣子さん。かつお節は一本毎に味が異なり、その土地や料理人さんそれぞれが求める味も違うのだとか。そこで、料理人の方が求めるものと、「かつお節のタイコウ」の社長さんの目利きの技とを繋ぐ仕事が、「かつお節コーディネーター」なのだそうです。かつお節コーディネーターである大塚さんに、初心者にもわかる美味しい「かつお節」のお出汁の取り方を教えていただきました。

「もしうちのかつお節をお試しいただけるのであれば、何も難しいことはありません。お湯を沸かして、かつお節を入れて、3分煮たてたら火を止めて、ざるで濾して絞ってお終い。たったこれだけで、料理店にも負けない出汁が引けます。丁寧にやろうと思えばいくらでも難しくできますが、昔からの仕事を続けている商品であれば、雑に扱っても問題ありません。初心者で慣れていない人ほど、いい素材を使った方が失敗がありませんし簡単です。あと、質が良くて美味しいと…続けやすいですよ(笑)」(大塚麻衣子さん)

味や香りは目には見えないけれど、記憶や思い出と強く結びついているもの。今回のリプ欄にも、たくさんの思い出や「家庭の味」についての声が寄せられました。

「今年母を亡くしました。寂しい台所に立ちたくないな、と思ってましたが、母の味をなんとか再現してみます。甘いお出汁再現できるかな、涙で塩辛くなるかな」
「年末、おせちは買おうかなぁと思ったけどやっぱり作ろうと思いました!」

現在、「タイコウ」さんのオンラインショップは販売停止中ですが、「ぜひ年が明けた1月中旬以降の落ち着いた頃か、弊社の商品を取り扱うお店様の店頭やオンラインショップでお買い求めいただけますと幸いです」と、大塚さん。

そろそろ年越し蕎麦やおせち、お雑煮の準備に入るこの時期、「家庭の味」やそれぞれの作り方、そして日本の食文化について、改めて考えてみたいですね。

■「かつお節のタイコウ」公式HP

■かつお節コーディネーター「大塚 麻衣子」さんのnote「忘れられた かつお節の話。」

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