「母の味が残せます」の言葉に感極まりました…
ーー3年前の「お母様」の最後の注文をお受けになったのも大塚さんだったのですね。
「今回のお電話を受けた際、お話を聞きながらお名前から履歴を検索して、実はすぐに『お母様』のことを思い出したんです。ところが、いろいろとお話をうかがうと、今回の『お電話主』である娘さんはどうやらうちのことをまったくご存知なかったようで、逆に『お母様』が急逝されていたことを知り、私にとっても印象に残っていたお客様だっただけに、3年間のブランクの意味がわかった瞬間、胸がグッと詰まりました。ただ、その後のお話と、『母の味が残せます』という言葉で、今回の『お電話主』の方の真っ直ぐなお気持ちが伝わってきて、感極まって私の涙腺もやられました」
ーーその「お母様」が注文していらしたのが「タイコウ」さんの「本枯節 血合い抜き 花くらべ」と「厚削り」だったそうですね。
「はい。ただ、今回のツイートの反響が大き過ぎて、完全に弊社の事務処理能力を超えてパンクしてしまいました…。現在はオンラインショップの販売はすべて停止しております。申し訳ございません(※「ぜひ年が明けた1月中旬以降の落ち着いた頃か、弊社の商品の取扱店様のお店やオンラインショップでお買い求めいただけますと幸いです」と、大塚さん)。
実はこちらの商品、作るのにいちばん時間がかかってしまう商品で、1日に作れる数量がとても少ないのです…。本当にごめんなさい。うちのかつお節は、厚削り以外一切加熱をしていないので、とても硬くて、削るのにとても時間がかかるのです。でも、加熱して味を落としたくないので、このやり方を守っています。お待ちいただいているお客様には大変申し訳ないのですが、ご理解いただけますと幸いです」
思わぬ形で「味の文化継承」が伝えられた喜び
ーーそれほど「かつお節」を真摯に製造していらっしゃるということですよね。今回のお電話のように、お客様からの声を直接お聞きになる機会も…?
「はい。ありがたいことに今までにも、お電話やFAXなどで、美味しい出汁が引けた!といったお声をいただく機会はございました。とくに今回の反響で印象的だったのは、『おふくろの味』を思い出した、自分も覚えておきたい、というお声です。ずっと細々と出汁とり教室で私が伝え続けてきた『味の文化継承』が思わぬ形で皆さんに伝わったように感じ、すごく嬉しかったです」