インスタントコーヒーの中蓋や各種調味料の中蓋。しっかりした蓋が付いているのになぜいったん蓋を取り外してから、その中蓋をめくらないといけないのか、プチストレスを感じたことはありませんか。たったそれだけのことなのですが、急いでいる時などは煩わしい作業です。しかし、元商品開発職のじゃぐ@食品研究さん(@food_juggle)は、その中蓋には意味があると言います。
「瓶にこういったアルミ箔の蓋が貼ってあるときに、とまどって半分だけとか中途半端に開ける人も多いと思うんだけど、実は全部剥がした方が蓋と瓶の密閉性が高まって湿気にくくなるから全て剥がした方がいいって公式も言ってるのは、もっと知られていいと思う」とツイートしました。
投稿した研究者に詳しいお話を聞きました。
ーーアルミ箔の蓋とは、中蓋のことでしょうか。
「その通りです。外側のふたではなく、購入直後にシールされている中蓋のことです」
ーーなぜ全部取り切らないと吸湿してしまうのでしょうか。
「これは推測の域を脱しませんが、中蓋が部分的に残ってしまうことで瓶と蓋の間にわずかな隙間が生じてしまい、そこから空気が入り込んでしまって、空気中の酸素と触れ酸化したり、水分を吸収してしまうのではないかと考えられます」
ーー内容物が減っていくと空気が入って湿りやすくなりますが、劣化を防ぐ方法はありますか。
「これは難しいので、蓋をしっかり締めることと早めに消費すること、メーカーが提示している保管方法を守ることしかないと思います。特に劣化しやすい物には脱酸素剤などが入っていることもありますが、安易に自身の判断で入れない方が良いと思います」
ーーそもそもなんのためにアルミ箔の蓋が貼ってあるのでしょううか。
「これも推測ですが、出荷時に万全を期すためだと考えられます。よく賞味期限に『未開封の場合』と書いてあることがあると思うのですが、完全に外気とシャットアウトできる状況下であると、流通時など何かしらのトラブルがあっても、劣化という観点でも、異物混入の観点でも中身の品質を担保しやすいので、そのようにしていると考えられます」
さらに「農林水産省では、フードロス文脈で包剤の色んな取り組みがまとまってて、このサイトかなり面白い!どうしても食品そのものに目は行きがちだけど、実際は包剤の技術開発のインパクトもかなりでかいんだよなぁ」と続けています。包剤を変えることは、食品の鮮度維持や賞味期限の延長に影響し、フードロス削減につながるのです。
なお、インスタントコーヒーに関しては別の見解もあるといいます。「瓶に付いたふちの部分のラベルは残して、内側を完全に切り取ることがオススメされています。一部分残すか残さないかで多少違うけど、ごっそり取り除くのは近いね。ここにはインスタントコーヒーの中蓋をどう開けるのかが書かれています」。インスタントコーヒーの中蓋は、瓶の縁に中蓋のアルミ箔が残ってしまいますが、それは残しておいた方がいいのですね。
<参考>
食品ロスの削減に資する 容器包装の高機能化事例集(農林水産省)
インスタントコーヒーのキャップを開封後、瓶の天面に貼られている紙のラベルは、全部剥がした方がよいですか?(UCCお客様窓口)