名店の冷凍ラーメン、美味しい? 記者が食べてみた 二郎系や油そば約20種 自慢の一杯を自販機で

山陰中央新報社 山陰中央新報社

 全国のラーメン名店の自慢の一杯が味わえる自動販売機が、出雲市のショッピングセンターで稼働したという。どんな機械で、味は美味しいのか、確かめに行ってみた。

 名店の自販機があるのは「平田ショッピングセンター ViVA」(島根県出雲市平田町)。一畑電車の雲州平田駅から国道431号を西に約1キロ行った先にある。店舗東口から入るとすぐ「ヌードルツアーズ」と書かれた自販機と、ラーメンの写真を載せたのぼりが目に入った。

 自販機は東京都の製麺会社「丸山製麺」が展開し、全国148カ所に設置中(11月14日時点)で、ViVAによると、同じ自販機の導入は島根県内では初めてだという。自販機で使われる麺には、全て同社が店舗に合わせて手がけた、オリジナル生麺が使われる。

 自販機にはラーメンの写真と店名、店がある都道府県が記載されている。現在は極太麺で大量のモヤシや野菜を盛り付ける「二郎系」と呼ばれるラーメンや油そばなど計5種類から選べる。価格はいずれも千円と、実際のラーメン店で食べるよりは少し高めだ。

 都会地の人気ラーメン店の味が集結

 ViVAを運営する「島根イズム」の広報担当、木色春香さん(36)によると、一番人気は東京都の「らーめん バリ男」のラーメン。濃厚な豚骨系スープに極太麺、特製の唐花(唐辛子)が付いたボリュームのあるラーメンで、全国の自販機を導入した店舗の中でも1位の人気という。

 早速、自販機を利用してみた。やはり一番人気の「バリ男」を食べてみたい。お金を入れてタッチパネルで商品に対応する番号を選ぶ。お年寄りも手軽に使えそう。取り出し口に出てきたのは手のひらよりも大きいパック。中身は冷凍のスープとチャーシューが入った袋と冷凍麺(300グラム)、特製唐花だった。モヤシやニンニクは付いていないため、自分で適量を用意するのがお勧めだという。

 メニューではほかに鶏や魚介、野菜から作ったスープが特徴のAFURI(神奈川県)の柚子(ゆず)塩ラーメン、濃厚豚骨魚介のつけ麺で知られるつじ田(東京都)の濃厚つけ麺といった、都会地の人気店のラーメンがそろっている(10月20日時点)。

 1日で完売するほどの人気ぶり

 木色さんによると、自販機は9月26日に稼働を始めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響でテナントが退店し、空いたスペースを活用するため、無人でも対応できる自販機の設置を決めた。ラーメンの自販機にしたのは幅広い客層から人気が高く、県内で他に導入している所がなかったから。

 自販機導入のPRはホームページと会員制交流サイトのみだった。しかし、稼働直後から大人気で「松江市から買いに来た」という人もいたという。土日には一度に自販機に仕込める50食分が1日で完売することもあり、木色さんは「ここまでお客さんが来るとは思わなかった。(商品を)補充しても補充しても追い付かないほど」とうれしい悲鳴を上げる。

 ラーメンは売れ行きや利用者の声、時期によって、約20種類ある中から定期的に変更する。利用者からは既に「もう1台設置してほしい」という熱い要望もあるという。

 記者が実食、その味は…?

 自販機にあるラーメンの中には通販やインスタント食品として販売され、自販機以外で入手できるものもあるが、木色さんは「冷凍とインスタントでは特にスープが全然違う」と熱く話した。冷凍ラーメンはどんな味なのか、自販機で購入したラーメンを自宅で調理してみた。

 パックの中には食材と、調理方法が載った用紙もある。調理法といっても、鍋に沸騰した湯を入れて冷凍スープが入った袋と冷凍麺を湯煎し、解凍できたら唐花と一緒に器に盛り付けるだけ。鍋の用意が必要な点以外はほぼインスタントラーメンと変わらない。

 5分ほどでラーメンが完成し、食べてみた。歯ごたえのある太麺に濃厚な豚骨スープが絡み、美味しい!確かに麺の歯ごたえもスープの風味も、インスタントラーメンとはまったく違う。普段食べるインスタントラーメンは100グラムほどなので、300グラムの麺を自宅でがっつり食べられるという点も魅力だ。

 冷凍スープは実際に店で作られたスープをそのまま冷凍しているという。店舗に行ったことがないため店舗で食べる場合との比較はできないが、確かに店で出てきてもおかしくないレベルと感じた。島根県にいながら全国の有名店の味を楽しめる。まさに「麺の旅(ヌードルツアーズ)」だと、自販機に付けられた名前の意味が理解できた。品目が変わる前に他の商品も味わっておきたい。また一人で「ツアー」に出かけたいと思った。

 自販機の営業時間はViVAの営業時間と同様、午前9時~午後9時。

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