「涙出そう…」顔に麻痺のある猫を同居猫が毛繕い 優しさであふれているとSNSで話題「人間も見習わなきゃ」 

渡辺 陽 渡辺 陽

親兵衛(しんべえ)(@shin_bei22)さんは、2匹の障がいのある猫を飼っています。顔に麻痺のある喜八くんの方が先輩。前脚と後脚を1本ずつ断脚した親兵衛くんは後輩です。ハンディはあってもそれを乗り越え、日常生活には不自由していない2匹。ただ、喜八くんはお水を飲むと顔が濡れてしまいます。親兵衛くんは、そんな喜八くんを優しく気遣っていました。何をしたのでしょうか。

「本当は喜八のほうがお兄ちゃんなんだけど、気がついたら、親兵衛が毛づくろいしてあげいてる。なんでかな?と思ってたら、顔の麻痺があるから、お水を飲んだ後、麻痺がある方に水がついてたりしても、気づかずびしょ濡れになってることが…そんなときに舐めてあげてるみたい。ありがとう親兵衛」と、ツイートしたのは親兵衛(しんべえ)さん。一緒に投稿された動画には、喜八くんの顔についた水滴を拭ってあげている親兵衛くんが映っていました。

動画を見た人たちからは、
「困ったらお互い助け合いだよね。人間も見習わなきゃだ」
「親兵衛ちゃん、とても優しいお猫様ですね。ほっこりさせて頂きました」
「涙出そう。人間もこういう気持ち忘れちゃダメだよね」
「新兵衛ちゃん&喜八ちゃん、持ちつ持たれつお互いに助け合って生活しているんですね」
というリプライがたくさん寄せられました。

飼い主さんにお話を聞きました。

ーー喜八ちゃんとはどこで出会ったのですか。

「喜八は、生後2ヶ月くらいの時に事故に遭って、動物愛護管理センターに収容されていました。顔が90度にねじれてしまっていて、顔の右側はほぼ床についてるような状態で、横倒しで全く立つこともできず、歩けない状態でした。収容されているケージの中で寝たきりになりながらも、必死にケージの格子の隙間から前脚を出して、『ニャーニャー』と鳴いていました。誰かにとにかく触ってほしくて、ケージの格子から出した手をグーパーグーパーしながら、アピールしていたのです」

ーーしかし、センターでは手厚い看護や治療は受けられませんね。

「ごはんは入れてもらっているけれど、自力で食べられるわけもなく、ごはんを十分に食べられてないが故にガリガリに痩せ細っていて、貧血にもなっていました。そんな姿を見て、放っておくことができず、介護が必要になるのを覚悟した上で引き取ることにしました」

ーーなかなかできないことですね。

「事故に遭わせたのも人なのに、それでも人が大好きで、触ってほしくて、必死にアピールする姿がたまらなくて。ここに収容されていては人に触れてもらうこともできず、そのまま命を落としてしまうことになる…もしも命がそう長くないにしても、最後は人のぬくもりを感じて息を引き取らせてあげたい。そう思いました」

「状態は悪く、もしかしたら亡くなってしまうこともある。寝たきりのまま、ごはんも自力で食べられないかもしれない。その状態を受け入れた上で、今できる治療をひとまずやるということで、一緒に過ごす生活がはじまりました」

ーーところで、喜八ちゃんはマイペースなのですか。

「喜八は頭を強く打っていたので脳障害があります。少し発達が遅いところもあります。もともとの性格なのか、脳障害の影響があるのかわかりませんが、とってもマイペースな子です。動物病院へ行く車の中でも、ゴロゴロ言って手をグーパーグーパー。動物病院でも診察台の上でも、診察中でもゴロゴロ、スリスリしています。売られた喧嘩であっても買うことはなく、とにかく穏やか。怒られてもめげないし、いい意味でとにかく明るく前向きです」

ーーだから親兵衛ちゃんともうまくいくのかもしれませんね。

「こんな様子でとにかくマイペースなので、されるがままということがよくあります。親兵衛が毛づくろいし始めると、じーっとそのまま身を任せます。親兵衛が毛づくろいの延長で、噛み付いたり、喧嘩をふっかけたりすることもあるけれど、よほどのことでない限り、怒りません。あんまり度が過ぎると手を出すこともありますが、それもソフトタッチです(笑)」

ーー喜八ちゃんは水を飲むと顔に水滴がついてしまうのですか。

「喜八は右側顔面麻痺があるので、普通の子と同じように上手に丁寧に毛づくろいすることができなくて、特にごはんや水を摂った後には、右側の口周りが汚れていることがよくあります。ごはんの場合はごはんの匂いがするからか、顔周りを念入りに新兵衛が舐めることがしばしばありました。最近はそれがルーティンとなり、麻痺してる口周りを重点的に舐めるようになりました」

ーー親兵衛ちゃん、優しいのですね。

「観察していると、親兵衛は喜八だけを狙って毛づくろいしてくれています。親兵衛自身は、通常は上の子たちから毛づくろいされるほうで、自分から喜八以外の猫の毛繕いをすることはほとんどありません。親兵衛は、喜八にはお世話が必要だと理解しているのかもしれません」

ーー喜八ちゃんはうまく生活できていますか。

「喜八は片側顔面麻痺や斜頸がありますが、全くハンディを感じさせることなく、元気です。喜八が明るく前向きだから、断脚した親兵衛も同じように元気に育ってくれたのか、同じタイプの子が集まったのか…どうなのでしょう?(笑)」

ーー2匹は出会ってすぐに仲良くなったのですか。

「親兵衛はおうちに来たとき、怖がっていて控えめでした。喜八はどんな子にもシャーと言ったことがない子でしたが、親兵衛に対しては1週間くらいシャーと怒っていました。2匹が仲良くなれるか心配していましたが、ある日突然、喜八が下手くそなのにも関わらず、親兵衛の毛づくろいをし始めて、仲良くなりました」

ーー親兵衛ちゃん、最初は控えめだったのですか。

「親兵衛は、俺様気質なところがあります。気が強くて、喜八と並んでごはんを食べている時も、喜八が横取りするわけがないのに、ウーッ!と威嚇しながら食べています(笑)気がしっかりしている子だから、2本も脚を切断した状態でも乗り切れたのだと思っています」

ーー2匹の姿はまるで本当の兄弟のようですね。

「喜八と親兵衛は本当の兄弟ではありませんが、月齢が近いこともあり兄弟のように過ごしています。一緒に遊んで、取っ組み合いをして、疲れたら一緒に寝て、一緒にご飯を食べて、お水を飲んで、汚れた喜八の顔を親兵衛が毛づくろいをしてあげて…毛づくろいに火がついて噛みつき出すと取っ組み合いになって…お互い身体が不自由でも、それをマイナスに捉えることなく、遠慮し合うこともなく、1匹の猫同士として接しているようです。それが刺激となり、励みになっているのかなとも思います」

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