「一昨年亡くなった大好きなおじさん。前を通ると必ず玄関前まで行き待ってる。『おぅ、来たのかぁ~』って笑って出てきそうだもんね」とつぶやき、1枚の写真をツイッターに投稿した黒柴はるママさん(@51316Mika)。
そこに写っていたのは、降り積もる雪のなか、お座りをしてずっと誰かを待ち続けている黒い柴犬、はるくんの後ろ姿。
はるくんはいったい誰を待ち続けていたのか?飼い主のはるママさんに聞きました。
犬は優しくされた事を忘れない
雪のなか、誰かをじっと待ち続けていたわんちゃんは、先日、6歳の誕生日を迎えたばかりの黒柴の男の子、はるくん。実ははるくんが待っていたのは、写真の家に住んでいた大好きな「おじさん」。おじさんは一昨年、病気がもとで急逝。はるくんは大好きな人に突然会えなくなったことが理解できず、おじさんが他界して1年が経った去年の今頃、おじさんの家の前で、「おじさんを呼びに行こう!」と飼い主さんを誘うはるくんの健気な姿が話題になりました。
それからさらに1年。先日、久しぶりに「おじさん」の家の近くを通りかかったはるくんと飼い主さん。はるくんは「おじさん」の家の玄関前にちょこんと座り、大好きな「おじさん」が出てくるのをずっと待ち続けていたそうです。
亡くなって2年が経った今でも、大好きな人をずっと覚えているはるくんの切ない後ろ姿に、「忠犬ハチ公みたいだよ」「泣けるよね」と、心震える多くのリプライが寄せられました。
「犬は優しくされた事を忘れないんだ」
「気配を感じてるのかもしれませんね。今でも」
「おじさんはそんだけ好かれてて嬉しいやろなぁ」
リプ欄に寄せられた「おじさんも空の上で喜んでるよ」「優しい気持ちをありがとね」といった声に対して、「僕に黙っていなくなったワン…」「いつまでも忘れないワン」と、愛犬の気持ちを代弁していた飼い主のはるママさんに、お話を伺いました。
ーーはるくんは去年ご紹介した記事の後も、「おじさん」のお宅の近くを通るたび、今回のようにおじさんを待ち続けていたのですか?
「近くまで行くと必ず、おじさんが外に置いた物の匂いを嗅ぎに行くんです。そして玄関前でじっと座って待ちます。帰るよ、とリードを引っ張るまでひたすら座り続けます。かれこれ10分弱位でしょうか…」
ーー「おじさん」はまだお若かったそうですね。いつもはるくんに優しく話しかけながらなでなでしてくださる、おだやかな方だったのだとか。
「遠くにいる私たちの姿を見たら、手を振って道路まで出てきてくれていました。それに気づくとはるは走って駆け寄り、おじさんに飛びついて挨拶します。はるは大好きな方にしか飛びつかない子なんです」
ーーはるくんは人懐っこいわんちゃんなのですか?
「人が大好きなようです。特にお年寄りの方が大好きで…。年配の方は静かに話しかけてくださるので、それが安心なんだと思います。いつも会う若い方に対しては、尻尾は振るんですが、絶対に飛びついたりはしません。お尻の匂いだけ嗅いで離れます」
ーーぴょんと飛びつく挨拶は大好きな方限定、なのですね。
「はるは賑やかな雰囲気や場所が苦手なようで、4人くらいの集団で歩いてる人たちや、子どもも少し苦手です…。ただ、近所の小学生の男の子にだけは気を許していて、たまに一緒に散歩をします。他の子が近づくと、怖がって家の方向へ早足に向かいます」
ーー「おじさん」が亡くなった後、はるくんはまだ「おじさん」の奥さまには会えていないのでしょうか?
「はい。奥さんは日中、仕事をしている方なので、会うことはできていません…」
◇ ◇
はるくんが「おじさん」の家の前に座り続けている間、飼い主さんは「語り合ってるかもしれないのでそのままそっと」してあげていたそうです。
はるくんと飼い主さんは「おじさん」が亡くなった後、「おじさん」の奥さまにはまだ会えていないとのこと。「おじさん」を待っていた雪の上に残るはるくんの足跡……に気づいてくださっているといいですね。