「自販機のシチュー初めて見た!」この冬はシチュー缶がアツい! 昨年大ヒットのラーメンスープを超えるか?

金井 かおる 金井 かおる

 自動販売機のフード系飲料が最近何やらにぎやかです。ラーメンスープ、しじみ汁、とん汁、飲むカレー等々。この冬、特に目を引くのは「クリームシチュー缶」。SNSでも「自販機のシチュー初めて見た!」「シチュー缶なんてあったんだ」「駅のホームでシチューが買える時代」「令和だ」「すごい時代」「超珍しい〜」「寒い日に重宝しそう」「自販機で食事が完結できる」など、驚きの声が広がっています。

「寒い朝に飲みたくなる缶スープ」

 JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニーは今年10月、エキナカを中心に展開するオリジナル飲料ブランドacure made(アキュアメイド)から「とろ~りまろやかクリームシチュー」(税込150円、190g)を発売しました。「寒い朝に飲みたくなる缶スープ」と位置づけ、「コーンポタージュ以外の選択肢となることを狙っています」。

 同社担当者に売れ行きを尋ねると、「東日本エリアは最高気温が20度を超える日もまだまだ多く、自販機のホット商品の需要が高いとは言えない状況です」とした上で、「今現在の販売指数を見ると、クリームシチューは(定番の)みそ汁の人気を上回っており、上々のスタートだと捉えています。これからより一層気温が下がり、駅のホームで電車を待つ時間の寒さ対策としてスープ飲料の需要はさらに高まると考えています」と自信を見せました。

 気になるお味は「北海道産生クリームを使用したこだわりのクリーム感と共に、チキンや野菜のペースト等を使用し、じっくり煮込んだようなうま味が凝縮された濃厚でコクのある味わいを再現しました」。さらに「ニンジンの具が入っており小腹満たしにも最適です」とアピールしています。

 なぜ、具材はニンジンだけなのでしょうか。そこには開発担当者の苦労が隠されていました。

 「ジャガイモだとでんぷんのせいで缶にひっつきがちになり、複数の具材を使うとそれぞれが各缶に均等に入るのが難しいなど、具材選びはかなり難航しました。試行錯誤の末、ニンジンに決定しました。大きさについても何度も試作し、飲みやすさと飲みごたえの両立を追求したバランスのよいサイズ感となっています」(開発担当者)

昨年の大ヒット「ラーメンスープ」を超えられるか?

 同ブランドのスープ系飲料としては「気仙沼産ふかひれ使用ふかひれスープ」(2018〜2020年販売)、「旨辛麻婆スープ大豆そぼろ入り」(2019〜2021年販売)、そして昨年注目を集めた「コクと旨味の一風堂とんこつラーメンスープ」に続く第4弾。

 ラーメンスープは昨年、コーンポタージュの実績を最大で1.5倍上回る異例の定番超え商品に成長。今年も消費者からの期待に応え、10月中旬から再登場しました。

 同社の調査によると、ラーメンスープの購入者は75%が男性で、時間帯で見ると「14時から上昇傾向が始まり18時がピーク、21時まではスープカテゴリー内ではほぼトップの実績」だったといいます。

 これから本格的な冬の寒さが訪れると、クリームシチューが定番や昨年のヒット商品を超える日が来るかもしれません。

 「クリームシチューは、夕方夜の時間帯はもちろん、ラーメンスープとは違って朝の需要もあると思いますので期待しています」(同社担当者)

カレー、チゲ、飲むサツマイモ…各社から続々

 全国の自動販売機でもフード系飲料は続々と登場しています。

 大手菓子メーカー「ブルボン」(本社、新潟県柏崎市)は10月、同社初のスープ缶「牛乳でおいしくスープなシチュー缶」を発売。ニンジンやタマネギ、セロリなどの野菜エキス粉末を使用し「寒い時期に体の中にじんわりと広がる温かさと、染み渡る旨味をお楽しみいただけます」。

 ポッカサッポロフード&ビバレッジ(本社、愛知県名古屋市)は8月に「じっくりコトコト飲む缶カレー」を発売。昨年、期間限定で発売した「飲む缶カレー」の進化版。ターメリックやコリアンダーなど10種のスパイスを使用した冷温兼用の飲めるカレーだといい「パンやおにぎりと一緒に飲めば食事の1品になります」。

 変わり種では、伊藤園(本社、東京都渋谷区)が10月に発売した「ピリッと旨辛チゲ風スープ」と「さつまいもオレ」が目を引きます。特に「さつまいもオレ」は意外なことにコールド専用製品。「人気のサツマイモをミルクで仕上げた、飲むサツマイモスイーツ飲料です。焼き芋専門店の出店が増えるなどトレンドが変化するなか、ちょっと甘いものが欲しい時、また小腹が空いた時に好適なフード系飲料としておすすめです」

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