RCヘリ競技がスゴイ 実機以上に実機に見えるスケールモデルのディープな世界

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 10月30日、京都・桂川河川敷にある模型飛行場で、関西模型クラブ連合会が主催するRCヘリフェスタ2022が開催されました。RCヘリコプターが集い飛行する楽しい催しの様子をお伝えいたします。

やはり趣味というと模型?

 趣味という言葉を英訳するとホビー。ホビーと聞くと何を想像するでしょう。お店の名前にホビーの文字があり、これって何の店?、と聞かれると、かなりの割合で模型屋さんとかプラモデル屋さんと答えるのではないでしょうか。

 今も昔も「模型」という趣味はポピュラーなものなんですね。筆者ももちろん昔から模型は大好きでした。

 模型といってもプラモデルなんですが、このプラモデルという趣味には大きく分けて二つの流派があると思います。それは「ディスプレイ派」と「モーターライズ派」です。とにかくリアルな仕上がりを求めて入念に塗装などを行って作り上げるディスプレイ派。対してあまり外見にこだわらずモーターを交換したりやたらに電池を増やしたりして「ガンガン動かす」ことに血道を上げるモーターライズ派。

 もともと絵心がなく走りものが好きだった筆者はもちろん後者で、小学校低学年の頃にはタミヤのRCカーに憧れていました。憧れというのはつまりそんな高価なものはなかなか買えなかったからですが、RCの世界にはクルマのほか、さらにお金が桁違いにかかる「飛行機」や、もう一段お金がかかりまくる「ヘリコプター」などもあるのですね。

 そんな憧れの上の桁違いの世界、RCヘリコプターの世界に住む方々が愛機を持ち寄り飛ばしまくる会。これは見に行かないわけにはいきません。

RCヘリ競技のすごすぎる世界

 RCヘリコプターの世界にも、大きく分けて二つの流派があるようです。競技派と、スケール派です。いや、名前も含めてこの分類が正しいのかどうかはわからないですが、アクロバティックなヘリコプターの動きの極限を追求するような競技派、対してとことんリアルに実機に寄せていくスケール派、といった感じですね。

 今回、会場にはRCヘリコプター競技の世界チャンピオンが来られていて、幸運にもそのデモンストレーション飛行を見ることができました。

 とことん贅肉をそぎ落としたような機体は、ローターが回るとほぼ同時にふわりと離陸。しずしずと進んだかと思うと、いきなり弾かれたように急上昇します。ぷん、って、まるで忍者が残像を残して視界から消えるように(ってそういうのは見たことないですけど)。そしてそのまま弧を描いて急降下、背面飛行で地面にまっしぐら。地面の上10センチくらいで寸止め、また弾けるように上昇、宙返り、反転、きりもみ、横転……。そして「メトロノーム」と呼ばれる不思議な動き。機体がまるでメトロノームの針のようにというか、車のワイパーのようにというか、扇形に左右に行ったり来たり。物理を無視したような理解不能の動きです。こんな動きをされたらきっと、サイドワインダーでも追いきれません。

 さらにそのあと、このチャンピオンがドローン(プロペラが四つ付いてる、マルチコプター)を飛ばされてたのですが、これはもう本当に冗談というか、CGを見せられているようでした。

 例えば5月ごろに窓から入ってきて部屋を飛びまくる元気なハエって、なかなか目で追えないじゃないですか。まんまあれとおなじような動きを桁外れに広い空間でやってしまうんですよ。しかも音までなんとなく似てるんです。遠目に見ると「なんかが草っ原を跳ね回ってるなぁ」って感じです。ただ、虫と違うのは決して着地しないこと。地面に触れれば即墜落ですから、猛烈に降下して直前で寸止めなんですね。目で追えないものをしっかり把握して操縦する。やっぱりチャンピオンは超人です。脳のクロックが速いのでしょうか、もしかしたらニュータイプかもしれません。

実機以上に実機に見えるスケールモデルのディープな世界

 そしてもう一方のスケール派。こちらは何かホッとすると言うかゆったりと鑑賞できるのですが、拘り方が普通じゃありません。とにかくリアルなんです。この飛行場の近くには本物のヘリポートもあるんですが、そこに離発着する本物のヘリコプターよりもリアルかもしれません。外観はもちろん、飛び方もリアルです。ぷん、って視界から消えたりはしません。本物のようにフワッと離陸して、きゅんきゅんきゅんと飛びます。背面飛行とか宙返りなんてもってのほかです、一発で模型とバレてしまいますからね。

 競技用はほぼ電動のようですが、スケール機も電動が主流ながら一部にエンジンのものがあります。さらにその中に、本物のジェットエンジンを使ったモデルも。

 ジェットエンジンにはいろいろな種類がありますが、ヘリコプターに使われるのはターボシャフトエンジン、別名ガスタービンエンジンと呼ばれるやつです。ジェットの噴射で推進力を生むタイプではなくて、ファンの回転を取り出してローターを回すんですね。燃料は灯油です。ちなみに2リットルの灯油で、安全マージンを残して8分くらい飛べるそうです。「ひゅーん」という音とともにエンジンがかかると、排気口から炎が見えます。30メートルくらい離れた場所でも、ほのかに熱と灯油の燃える匂いを感じます。そしてローターがゆっくりと回り出して、ふわりと離陸。いやー、これですよこれ、これが模型の究極なんじゃないでしょうか。胸にこみ上げてくるものがあります。素晴らしいです。

 

 よく晴れた秋の日、素敵な趣味人の集う楽しい飛行会で、1日楽しく過ごさせていただきました。いやー模型って本当に、いいもんですね。

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