平尾アウリ原作の漫画をドラマ化した「推しが武道館いってくれたら死ぬ」が朝日放送テレビなどで放送中だ。女性アイドルグループを全力で応援する女性が主人公のドラマで、主演は自身も人気アイドルグループ「乃木坂46」出身の松村沙友理(30)だ。原作を読んで涙した松村はアイドルとファンの距離を考慮しながら演じたという。(敬称略)
松村は乃木坂46の現役時代に原作の漫画を読み、涙したという。ファンが先着順イベントで早朝から並ぶ場面だった。
「2時間並んだよ」
「ファンの皆さんがずっと朝から待っているシーンで感動して泣いてしまいました。(乃木坂46が行っていた)握手会でも長い列は目にしていて、会いに来てくれた人から『2時間並んだよ』などと言われてはいたんですけど、そんなに実感はなかったんです」
「私たちは室内で握手会をしていたけど、1日並んで真っ赤に日焼けしちゃっている人とかもいて、皆さん一人一人がそういう苦労を話されるわけじゃないけど、アイドルを『推す』ということはお金もかかるし、体力も時間もかかることだなと改めて感じました」
今回、松村はファン側を演じる。主人公・えりぴよは岡山で活動するローカルアイドルグループのメンバー「舞菜」のファン。自身はジャージー姿で過ごし、衣服などに使えるお金は全て「推し」のアイドルにささげる。一方、舞菜を演じるのは気鋭の俳優・伊礼姫奈(16)だ。
「伊礼さんは舞菜という役柄を大切に演じられていて、会った瞬間に舞菜だなと思って見ていました」
撮影中、松村は伊礼とあまり会話をしなかったという。
「作品中でも(主人公・えりぴよがアイドル舞菜の)プライベートに近づかなかったように、私も撮影がないときはお話をしなかったんです。えりぴよのせりふで『推しは友だちじゃないから』というのが印象的でした。気軽にいつでも会える存在じゃない。話したいと思っても話せる存在でもないような気がしていて、(アイドルとの)少しの時間を大切に思えるようにしました」
今回のドラマで登場するアイドルグループは7人からなる「ChamJam(チャムジャム)」だ。物語ではメンバー同士、ファン同士の人間関係も描く。
「(アイドル)個々のキャラクターがしっかり作られているのが印象的でした。それを応援するファンの皆さんも個性がすごい豊かで、一人一人の人間模様がとても面白いなと思います」
乃木坂でもティッシュ配り
物語ではローカルアイドルがチラシを配ったりさまざまなイベントに参加したりして、人気や知名度の向上に奮闘する姿を描写する。乃木坂46の発足メンバーとして活動した松村は、物語中のアイドルに過去の自身の姿を投影したことはあったのだろうか。
「私たち(乃木坂46)も最初は結構マイナーな方でした。もっとファンの人を増やすようにと、ティッシュ配りをしたりブログを一生懸命書くようにしたりしていました」
今は衣装が選べる
松村自身は2021年7月にアイドルグループを「卒業」した。ソロ活動をする現在、グループの良さを感じることもあるという。
「毎日本当にお仕事で忙しかったんですけど、その合間の楽屋も楽しかったし、約束するわけじゃないのに毎日会っていたのは今となってはすごい尊かったなと思います」
一方で、ソロでの活動の良さも感じる。
「(グループだと)衣装は選べずこの服を着てくださいというがメインだった。今は自分でたくさんある服の中から選べるので楽しいなとは思います。」
松村は大阪府出身で、グループ加入までを関西で過ごした。京都や滋賀にも思い出はあると話す。
「鴨川近くで親戚が日本料理店を出している時期があり、京都には家族と行きました。滋賀にも小学生くらいのころよく琵琶湖に家族で行っていました」
出身地・関西での活動は増やす意向はあるのだろうか。
「大阪は育ってきた町でもありますし、ずっと見てきたなじみのある番組もあります。(大阪の番組に)たくさん出られたらうれしいなと思います。大阪には私の好きな食べ物もあるので、定期的に仕事を理由に帰ってきてやろうかなともくろんでいます」
「王道の恋愛ものを」
自身は8月に30歳を迎えた。20代をトップアイドルとして過ごした松村は30代で何を目指すのだろう。
「王道の恋愛ものを全然やっていないと最近気付きまして。ピュアな恋の物語とかやってみたいです。でも、自分の中では肩書をこれと決められていないところがあるんです。ぜひご縁があったら、いろんなことに挑戦していけたらいいなと思います」
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「推しが武道館いってくれたら死ぬ」はテレビ朝日で毎週日曜日午前2時半(土曜日26時半)、朝日放送テレビで毎週日曜日午後11時55分から放送。