「猫を迎える前は、ずっと子猫ならかわいいのに…と思っていました。成猫になると、かわいいの体積が増えると聞いても、いまいちピンとこなかった。でも、今は言葉の意味が分かる。抱っこして『重たいね』と言いながら、生命を感じている時が最高に幸せです」
そう語るcocha_0301さんは、愛猫のこちゃぼくん、おはぎちゃんと過ごす中で、猫という動物の捉え方が変わり、成猫の愛くるしさに気づいたそう。
「2匹は、私を生かしてくれている。人間がひとりひとり違うように、猫もそれぞれ考えていること、やりたいことが違う。そんな当たり前のことに気づかされました」
自分が思う“正解な愛し方”で2匹を守ろうと思えるようになった
こちゃぼくんは知り合いの職場近くに住み着いていた母猫の子。保護後、声をかけてもらい、家族になりました。
その後、飼い主さんは愛猫が伸び伸び遊べるよう、都会から田舎にあるペット可のアパートへ引っ越し。親戚が保護先から引き取った、脳障害を持つおはぎちゃんも家族に迎えました。
「こちゃぼは、賢くて優しい。甘えん坊で私と遊べないと、すぐ拗ねます(笑)。あと、自分のサイズ感をあまり分かっておらず、以前入れたところに飛び込もうとしてぶつかるなど、おっちょこちょいです」
一方、おはぎちゃんはどこで寝ていても、呼ぶと隣へきてくれるのだそう。
「成猫に近い時期に迎えたので、いつかは特別な存在になれたら…と思っていたのですが、1歳を過ぎる頃に友人が触れ合った時、明らかに普段と違い、私にだけ甘えてくれていることを実感。この子のママになれたんだと、嬉しかったです」
2匹と出会ったことで、飼い主さんは子猫の頃が一番かわいいのではないということを知りました。
「猫も人間と同じで、小さい頃はあまり自我がないけれど、成長するにつれ、鳴き声のレパートリーやできること、やりたいこと、気になることが増え、飼い主の声を認識してくれるようにもなる。それが、すごく幸せでしたね」
そして、猫という動物の捉え方も変わったそう。
「それまでは猫柄も知らず、“猫という生き物”だと一括りに思っていたんです。でも、一緒に暮らす中で、互いに家族だと心から思っていると感じ、猫と一括りにできない生き物であることを知りました」
だが、猫を愛するがゆえに、2匹が自分の家で暮らすことは幸せなのだろうかと悩むように。独り身なことから、「私が飼い主でいいのか」「2匹も引き取って、本当に大丈夫だったのか」と考えるようになりました。
「もっといい環境だったら…とか、別の家に迎えられ、ひとりっことして愛情を注がれていたら、もっと幸せだったのかなとか思っていましたね」
その苦しみを解決するヒントをくれたのは、動物好きな友人。「あなたは、やれることを全てやっている。あなたほど猫の気持ちを考えられる飼い主は、あなたが思うほど多くない。あなたが飼い主で、本当に幸せだと思う」という言葉を貰い、心が軽くなりました。
しかし、新たな悩みが…。相手が、どんな価値観で猫と暮らしているか分からないことから、猫好きな人と上手く話せなくなったのです。
「今は完全室内飼いが推奨され、地域猫はTNRなどの活動で守られるのがスタンダード。でも、時代によってスタンダードは変わるし、猫の気持ちを100%分かる人間はいない。動物を迎えることや、できるだけ長く一緒にいてほしいと思うのは結局、人間のエゴだと私は思うんです」
だが、それらも全て自分の考えであり、他の人が何をどう感じるか自由。結局、何が正しいかは誰にも決められない…。そう悩んだ挙句、飼い主さんは自分が思う正しさを貫いて、猫を精一杯愛すという答えに辿り着きました。
「どの愛し方も許容したいけれど、自分が思う正しさがあるから、できない時もある。でも、考え方が違う人に罵声を浴びせるのではなく、違う宗派の人なんだなくらいに思い、自分が思う愛情で猫を大切にするのが何より大事だと思えるようになりました」
なんの特徴もない雑種の愛猫がこんなにも愛しい
雑種で、なんの特徴もない成猫でもこんなにかわいい――。そう伝えたくて、飼い主さんは日々、SNSを更新。
「アカウント開設のきっかけは、友人や動物好きな方にこちゃぼを褒められたことでした。こんなイケメンな子なかなかいないとか、雑種なのかと驚かれることがあったので、我が子自慢をしたくて(笑)」
ただ歩いているような、自然体な姿が好きな飼い主さんは、2匹のかわいさをどうしたら伝えられるのか日々、研究中。他の飼い主さんが投稿する「うちの子自慢」に目を細めてもいます。
「純血種もかわいいですが、雑種は呼称の通り、色々な血が混ざっていて、同じ毛色でも顔や体の大きさ、手足の長さ、しっぽの形など見た目が違い、性格もそれぞれ。個性豊かで、素敵です」
そう語る飼い主さんは自身が猫と生きることと深く向き合ったからこそ、猫と暮らす上で必要な情報を調べて、「自分に飼えるだろうか…」と不安になっている人に「あなたなら、きっと大丈夫」というメッセージを送りたいと思っています。
「保護猫の場合、譲渡の条件が厳しいことも多いですが、成猫なら要相談の譲渡会や保護施設などもたくさんあるので、保護猫を迎えるという選択肢は諦めてほしくない。成猫の魅力は、子猫にはない重さと自我を持っているところ。大体の性格や行動、体質などが決まった後なので、どのような子か分かりやすいです」
我が子になれば、どんな姿や性格でも世界一愛おしくなる――。そう思っている飼い主さんは、これからも「自分が思う正解」な愛で、世界一かわいい2匹を精一杯包み込んでいきます。