「えっ、病気治ったの?」愛犬が亡くなって1カ月後に出会ったそっくりな保護犬、不思議な赤い糸に結ばれていた

山中 羊子s 山中 羊子s

 東京在住のちっきょさんは2019年3月、14年間生活をともにしてきた愛犬を病気で亡くしました。さらに派遣の仕事の契約もちょうど切れ、心にぽっかりと穴が開いた状態。仕事を探さなければとネット検索をしていましたが、気が付いたら保護犬のページばかりを見ていました。そこで、偶然にも亡くなった愛犬にそっくりな保護犬を見つけたのです。

一瞬見かけた横顔…そこからは必死に情報を収集

 たまたま見かけたその保護犬はすでに保護期間が切れている状況でした。もしかしたら処分されるのでは…と必死になって追跡を始めました。

 「千葉の保護センターに最初いたのですが、調べていくと私の住む東京から近い川崎の保護宅にいることが分かりました。その方のブログを調べ、少しずつ交流をしてきました」

 その子は「ここみちゃん」と名付けられ、保護宅ですでに1年も過ごしていました。何度か譲渡会にも出したけれど、なかなか決まることがなかったそうです。

 「一度、譲渡会に来てみませんか」

 そんなある日、ちっきょさんは声を掛けられ、会いに行くことにしました。当時、愛犬、千代吉くんを大病で亡くしてひと月あまり。旦那さんをはじめ、周りの人からも反対の声があったものの、どうしても会いたいと思ったのでした。

 初対面は10分ほどでした。かなり人に対してはおびえている様子。でも、攻撃性はなく、最初から触らせてくれました。

 「本当に千代吉にそっくりで、絶対にこの子はうちに来るって思いました」

傷だらけの体の過去は不明…人を怖がり、臆病な性格

 ここみちゃんの体には深い傷跡がありました。そして、千葉で保護されたとき、出産したばかりと推測されていました。

 「もしかしたら猟犬で子どもだけ取られ、捨てられたのではと保護主さんは話していました。体の傷は野生動物に攻撃されたようです」

 次に会いに行ったとき、一度散歩してみますかと言われ、ちっきょさんはこれまで千代吉くんを散歩させていたように腰にリードを回して出かけました。念のため、リードは二重です。

 「それを見て、この人なら託しても大丈夫と保護主さんは思ってくれたみたいです」

 トライアルが決定し、自宅に連れてきたときは室内の犬小屋から出てこず、トイレもしない、食事もしないという状況。2週間は人がそばにいるときは引きこもっていました。

 しかし、いつも話しかけ、食べないときは手からご飯をあげたりしていたら、ある日、突然、横に来て、お腹を出して寝っ転がったのです。何がきっかけかわかりませんが、突然、心を開いてくれました。そして、願いが叶い、ちっきょさんの家の子となり、名前も漢字で「心深(ここみ)」としました。

 ただ、子供や知らない人が怖いのは3年たったいまも変わらず、毎日の散歩は何と朝4時半。まだ人が少ない時間にしています。

「病気治ったの?良かったね」と声を掛けられたことも

 最初、心深ちゃんを連れて歩いていると、知り合いの人から「あら、病気治ったのね?良かったね」と千代吉くんと間違えて声を掛けられたこともあったそうです。

 「性格は真逆ですが、見た目は本当に似ている2匹です。こんなに似ている子をあんなにたくさんの保護犬から偶然見つけ、さらにすぐ近くの保護宅にいたなんて、やっぱり心深とは赤い糸でつながっていたのではと思っています」

 いまではすっかり甘えん坊。なかなか譲渡先が決まらなかった心深ちゃんですが、不思議な縁に導かれ、いまは幸せな日々を送っています。

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