神戸のお嬢様こと、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダのタンタンが、9月16日に27歳のお誕生日を迎えました。人間で言えば80代と高齢で、現在、体調管理のために一般観覧が中止となっているタンタン。例年のようなお誕生会は開催されませんでしたが、現在の様子が報道関係者に公開されました。
ささやか(!?)なプレゼントも
タンタンをお祝いするために報道各社が集まり、久々ににぎやかになったパンダ館。タンタンの担当飼育員である梅元良次(うめもとりょうじ)さんと、同園の動物病院担当係長で、獣医師の菅野拓(かんのひろき)さんが現在のタンタンについて語ってくれました。
タンタンの状態についてうかがうと、「体調は良くなってるというわけではないのですが、いい意味で安定しています。今もですが、寝ていることが多くなりましたね。あとは動きも少し遅くなりました。ほかは変わらず元気ですよ。無事に誕生日を迎えられてうれしい。病気も見つかって、危険を感じたこともあったけど、おめでとう、よくがんばったね」と梅元さん。
タンタンの病状については、「状態は治療によって安定しています。薬については、強心剤や利尿剤などを与えています」と、菅野さんが説明してくれました。
さらに、今回は報道公開前に、飼育員さんからタンタンへささやかなプレゼントが贈られました。イベントごとにタンタンへのごちそうを作成し、プレゼントしてきた飼育員の吉田憲一さん。今回も、梅元さんと一緒にしっかりとお嬢様への贈り物を準備していたのです。
中秋の名月にインスパイアされたという、お月見をイメージしたプレゼントは、準備に1時間弱かかったという大作ですが、これでも構想をおさえ気味にしたのだとか。
竹の器には園内でとれたススキと大好きなサトウキビジュース、さらにお月見団子をイメージしたパンダ団子が並びます。月を模して、サトウキビジュースを固めた氷の上には、種なし巨峰が「27」の形に並べてあります。
しかし肝心のタンタンは塩対応。サトウキビジュースをペロリとなめただけで、結局そんなに手を付けずに終わってしまったそうです。プレゼントの様子は、誕生日当日より公式YouTubeチャンネルで配信されています。
復興の象徴であるタンタン「来年も誕生日を一緒に迎えたい」
タンタンは阪神・淡路大震災で傷ついた市民を励ますため、2000年7月にパートナーの初代・興興(コウコウ)とともに来日しました。その後、2度延長された貸与契約が2020年7月に満了し、中国へと渡る予定だったタンタン。しかしコロナ禍で帰国困難となった上に、自身の心臓疾患が発覚し、2022年末まで貸与期間が延長されています。
公開中止となっている間は、飼育員さんによって毎日更新される、公式ツイッターのツイートがファンの命綱。変わらずのんびり過ごす様子に安心し、癒やされるファンも多いのです。ツイッターを主に担当している梅元さんは、タンタンの状態次第だとしながらも、「できれば来年も再来年も、こうして一緒に誕生日を迎えたいですね」と話します。
いつも応援してくれるファンに対しては、「ツイッターを通じ、みなさんとてもタンタンを愛し、応援してくれていることに感動しています。こういう日を迎えられて本当にうれしい。本当はみなさんにもタンタンを見て欲しいですが、今はツイッターで我慢してください。次に会えたときに、タンタンがんばってと声をかけていただければ」と、いまの思いを語ってくれました。
また、ツイッターでは、「まさか27歳のお誕生日を神戸でお祝いできるなんて夢にも思ってなかったよ。タンタンのパン生がこれからも幸せなものでありますように」「お誕生日おめでとうございます。飼育員さん、いつもいつも癒しのたんたんさんをツイートしてくださり感謝しています。少し辛い気分の時にたんたんさんの純粋な姿で助けられていますよ」と、続々とお祝いのコメントが届いています。
また、お誕生日動画を見た人々からは、「今年も心を込めてタンタンさんの為にお作り頂きその模様を見せて頂き本当に感謝致します。タンタンさんのおかげで家族の人生を変えて頂けました」「タンタンさん,どこまでも関西人近づきそうで遠ざかる。食べそうで…食べない。氷崩しそうで、崩さない。この後どんなオチを考えてんの?タン師匠」と、タンタンらしい様子を喜ぶ声が寄せられています。
じつは本日、タンタンが非公開なのにもかかわらず、お祝いしたい気持ちで園内に集まったファンも多数いました。来園できないファンも、もちろん気持ちは同じです。お嬢様、お誕生日おめでとうございます。またお会い出来る日をファン一同、楽しみにしていますね。
「神戸市立王子動物園」
住所:神戸市灘区王子町3-1
電話:078-861-5624(代表)
公式ツイッター:https://twitter.com/kobeojizoo
公式ホームページ:http://www.kobe-ojizoo.jp