子どもたちよ、無料でご飯を食べることができる「笑顔チケット」で大きく育て 京都のおばんざい屋が始めた取り組みに共感広がる

京都新聞社 京都新聞社

 京都市中京区東洞院通丸太町下ルのおばんざい屋「笑(え)まる」が、利用客の協力によって、子どもたちが無料でご飯を食べることができる仕組み「笑顔チケット」を取り入れている。子どもや親の心のよりどころになればと、店主の藤井えみさん(40)=京都府亀岡市篠町=が始めた。

 家で独りでご飯を食べるのが寂しい、何らかの理由でご飯が食べられないなど、さまざまな事情を抱えた子どもたちにご飯を食べてもらいたいと3月下旬に始めた。趣旨に賛同した利用客が食事とは別に1枚300円でチケットを購入し、店内にある壁のボードにチケットを貼る。子どもは来店時、チケットを取って差し出すと食事ができる仕組みだ。奈良県橿原市にあるカレー店の取り組みを藤井さんが知り、承諾を得て取り入れた。

 虐待で子どもが亡くなるニュースが相次ぐ中、経営塾での学びを通して、心のよりどころとなる場所を作りたいと考えたのがきっかけ。今年2月の1カ月間、子ども対象の100円ランチを実施。店の壁に、同じ亀岡市在住の日本画家ベリーマキコさんに笑顔の子どもや大人たちの絵を「いただきます」「ごちそうさま」の言葉とともに描いてもらった。子どもたちが普段から気軽に入れるよう、5月に駄菓子販売も始めた。

 チケットの購入者は多い。小学生のきょうだいや、母親と一緒に訪れた幼児らがチケットを利用し、藤井さんと雑談をしながら食事を楽しむ。チケット購入者と子どもは面識はないが、チケットを貼ったボードには「おおきくなれよ」といった購入者からのメッセージや、「とてもとてもありがとう」などと子どものお礼が書かれている。藤井さんは「笑顔チケットはお客さんの力で支えてもらっている。ほっと一息つける場所として、さまざまな人の協力を得ながらこの輪を広げていきたい」と語る。

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