声帯を切られて病気でボロボロの元・繁殖犬 人間不信だったのに…今は家族大好きっ子、笑顔でいっぱいに

渡辺 陽 渡辺 陽

元繁殖犬ピッピちゃん

ピッピちゃん(3歳・メス)は、元繁殖犬。保護団体にレスキューされ、保護犬カフェで里親を探した。里親になったMさんは、それ以上詳しいことは教えてもらえなかったという。

大阪府に住むMさんは、ピッピちゃんを迎える前、ジャックラッセルテリアのポポちゃんをペットショップで買った。生後50日の子犬だった。ところが、迎えた翌日動物病院で健康診断してもらうと、「ジアルジア」という寄生虫がいることが分かったという。命を落とすこともある寄生虫だ。

「ペットショップに来て間もないということは、その前にいたところで感染したに違いない。私は、当時、ペットショップの子犬がどういう経路でショップに来るのかも知らず、店員さんに『他の子も感染しているかもしれない。ブリーダーさんに伝えてください』と言ったのです。でも、セリにかけられた子犬ですから、出自が分かるはずもありません。店員さんはなんとも言えない表情をしていました」

ひどい歯周病、24本抜歯

そのような経緯があり、Mさんは、2匹目の子は保護犬を迎えることにした。

「ポポの両親がどんな環境のところにいるのか気がかりで、新たに犬を迎える場合、ペットショップで買うのはやめようと思いました」

2021年12月半ば、MさんはピッピちゃんをSNSで見つけ、12月25日家族として迎えた。

ピッピちゃんはひどい歯周病にかかっていた。強烈な口臭で、24本もの歯を抜歯しなければならなかった。残った歯は、前歯12本だけだった。口腔内の粘膜もただれて、食べるのも大変だったという。耳もひどい外耳炎になっていて、鼓膜が見えないほど汚れていた。

「脚や口も茶色くなっていて、何回シャンプーしてもなかなかきれいになりませんでした。動物病院の先生も驚くような状態で、どんなひどいところにいたのか分かりました。治療費は高額でしたが、早く痛みを取ってあげたくて必死でした」

また、ピッピちゃんは声帯を切られていて、かすれた声しか出せなかった。先住犬のポポちゃんに吠えるようになってから、だんだん声が出るようになったという。男性を怖がったり、上から撫でられるのも嫌がったが、それも徐々に治ってきたそうだ。

愛情をかけたら返してくれる

先住犬ポポちゃんとの仲は微妙な感じだが、Mさんはまるで我が子が増えた様だという。

「パピーから育てていなくても、愛情は変わりません」

先住犬ポポちゃんは、家族が大好きでいつも一緒にいたがるタイプだが、他の人にはさほど興味を示さない。ピッピちゃんは、最初は人のことを怖がっていたが、今では嘘のように誰にでも愛想がいい。最近は、ピッピちゃんの方が人気者になっている。

「保護犬は最初は治療にお金がかかることもあります。でも、見るもの聞くもの初めての子が多いので、まるでパピーのようですし、馴れてくれた時の喜びはひとしおです。どんなひどい目にあった子でも、愛情をかければ見違えるように立派な犬になります。ペットショップで買った子の両親がどんな環境にいるのか、調べて知ることをすれば少しずつ何かが変わると思います」

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