じいちゃん、ばあちゃん、今年の盆もこれ使ってくれたかな 遊具サイズの精霊馬に心が和む

あさい あやね あさい あやね

芸術家・飯野哲心さんによるツイートが、1.6万いいねもの話題を呼んでいます。なんと写真には、お盆におなじみのアレが巨大サイズに…。

「乗れて100円で動くヤツです。人が乗ってるの見たくて作りました。#なかなか発売されないので作りました」という投稿には、ナスときゅうりの精霊馬がなんと人が乗れるサイズになって登場。さらに飯野さんのプロフィールのヘッダーには、祖父母が乗っている写真も…なんともカオスです。

精霊馬とは、お盆の御供物の一つ。ナスときゅうりに割り箸などを刺したもので、お盆の時期にご先祖様の霊があの世と行き来する乗り物として飾られます。そんな精霊馬が実際に乗れるサイズになったこのツイートには、「なんか、いいなぁ。ちょっと乗りたい」「自分も乗ってみたいと思いました」などの声が見られました。

また、行きは足の速い馬(きゅうり)、帰りはゆっくり進む牛(ナス)という言い伝えもあることから、「乗り心地がそれぞれ違うのかな?」といった声や、「乗っても連れて行かれない!?」とおどけて見せる人も。注目を集める作品について、作者の飯野さんにお話を訊きました。

きっかけは「誰かが乗っている姿を見たい」

ーーさまざまな芸術活動をされていらっしゃるのですね。

「現在は、『東京藝術大学大学院 博士後期課程 先端芸術表現科』に在学中です。『男子の美意識』(男子イズム) にある『カッケー』=『パワーへの憧憬』、『オモロー(ギャグやおふざけなど)」=『未知への挑戦への好奇心』を作品の根幹に彫刻・写真・パフォーマンス等の表現で制作を行っています。国内外で展示をしてきました」

ーーなるほど、今回話題となった作品にもその根幹を感じます。サイズはどのくらいでしょうか?

「ナスが150×120×90、キュウリが120×150×90(高さ・幅・奥行き)くらいです。素材は樹脂で、それが100円で動く遊具とくっついてるような感じです」

ーー本当に100円で動くというところにもこだわりをひしひしと感じます! どういったきっかけや思いで制作されたのでしょうか。

「幼少期に、祖父母から『ご先祖様が彼岸と此岸を行き来するための乗り物』と聞いたことが、大人になっても気になっていたことが制作のきっかけです。また、お盆になると現れるシュールな動物たちに『誰かが乗っている姿を見たい』と思ったことから制作しました。

はじめは、ただ跨るだけの木馬のような彫刻として制作していましたが、制作中に『コレは100円入れて動いたらもっと良い作品になるのでは?』と思い、ヤフオクで100円で動く遊具を落札して組み替えました」

ーー制作から、これまでにもさまざまな場所でお披露目されているようですが。

「展示やイベントでさまざまな場所で設置しました。その際に搭乗された方とそれぞれのお盆のお話を伺いました。地域によって異なる風習があることを改めて認識したり交友関係が広がったりと、作品が思わぬ形でコミュニケーションツールになりました」

ーー作品がつなげる輪、素敵ですね。プロフィールのヘッダー画像では、祖父母様が乗られています。

「2011年の送り盆に、祖父母と送り火を焚いた所で無人のナスが動くのを見送るという状態だったところ、ある芸術家さんから『これは祖父母を乗せるべき!』とアドバイスをもらったことで奮起し、2016年に祖父母に乗ってもらいました。それでもやはり不吉なことが起きないか心配で、この年に産まれた姪にも参加してもらい100歳の祖父と0歳の姪のお祝いという態で撮影を行いました」

ーーリプライでも気にされている方がいましたね(笑)。

「今では祖父母共に他界しているのですがお盆になると、『今頃乗ってるかな?』と写真を見ながら家族で話をします」

この作品は現在、「はじまりの美術館」(@hajimari_ac)の展覧会『あそビーイング』で、10月2日まで展示中。また、飯野さんのインスタグラムではこのほかにもさまざまな魅力あふれる作品が紹介されています。気になった方はぜひ覗いてみてください。

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