妊婦さんに「小さいけど大丈夫?」「そのお腹の形は男の子!」って無邪気に話しかけてない? 不安にさせる言葉かも…産婦人科医が注意喚起

宮前 晶子 宮前 晶子

「妊娠中のお腹の出方は骨盤や赤ちゃんの体勢で変わります。「週数の割にお腹小さいけど大丈夫」「もうこんなにお腹大きいの?」と言われても気にしないで大丈夫です。お腹の出方は人それぞれです。繰り返します、妊婦さんのお腹の出方は人それぞれです」と、投稿したよもぎ産婦人科医さん(@Yomogi_OBGY)のツイートが話題になっています。詳しくお話を聞きました。

お腹の出方や大きさについての言葉かけは、妊婦さんあるある。実家に帰った時に、友達同士で集まった時に、あるいは通りすがりのおばちゃん(今はコロナ禍で話しかけることは稀かもしれませんが)に言われ、「なんかモヤッとした」「大丈夫かな?と不安になった」という人も多いと思います。

実際に妊娠中に言われたひとこととして、「前にボンッと大きくなったお腹を見て 出産を経験した若い後輩から「母親の腹筋がないと前にデカくなるって言いますよねー」って言われてちょっと傷付いたのを思い出しました」「ちょうど悩んでいたところなので、気持ちが楽になりました。今8ヶ月ですが、お腹が大きくなく、『妊婦に見えない。』『食べてる?』とよく言われます。検診では胎児の大きさや羊水量に問題無しと言われていますが、言われるとつい気にしてしまいます。この認識がもう少し広まるといいなと思いました」「私は妊娠時、お腹が出っぱって尖っていたので色々な人に「男の子やね」と言われました。男の子が嫌な訳ではありませんが根拠のない事を言わないで欲しかったです」といった経験を共有する人も続出しました。

そういった本人には悪気がないであろう言葉に、「気にすることはない」というよもぎ産婦人科医さん(@Yomogi_OBGY)にお話を聞きました。

「妊婦さんの気持ちに寄り添う言葉をかけて」

−−「お腹の出方には個人差があるから、気にすることはない」という内容のツイート、度々投稿していますね。

「はい。妊婦健診では、“お腹が小さいといわれたんですが、、、”“お腹出すぎじゃありませんか?”と妊婦さんからよく聞かれます。実は、今回ツイートしたのも、ちょうど当日の妊婦健診で、同じことを言われて心配している妊婦さんがいらっしゃったから。健診で異常がなくても、実際に言われてしまうと気になってしまう人が意外と多いのだと思います」

−−「悩んでいたので、気持ちが楽になりました」「小さくても大きくても心にグサッとくる」など反響コメントもリアルでした。

「予想以上の反響にびっくりしています。先ほどもお伝えしましたが、妊婦健診ではよくある質問なのである程度の反響は予想していましたが…。それだけ同様のことを言われた経験がある女性が多いということだと再認識しています」

−−リプライの中には、「相手も悪気ないし、気にしたところで自分が落ち込むだけというデメリットしかないので、なにか言われても私はこういうタイプ、と思うだけ」という声もありました。

「私はこういうタイプ、とても良い考え方だと思います!でも、同じようなシチュエーションでも気にされてしまう妊婦さんは多いです。健診で何も言われていなければ、全く気にする必要はありません。

お腹の出方や形は、個人差もあります。妊婦さんの身長や体重などの体型、胎盤の場所などでも変わってきます」

−−お腹を見て「前に出てるから男の子」「横に広がってたら女の子」など性別を言われるのが嫌だという声も。医師から、そのような言葉を聞いたことがありません。

「最近は、妊娠中の超音波検査で性別判断をしやすくなったので、昔に比べれば、言われる頻度は減っているのかもしれませんが、まだまだ妊婦さんからお腹の形や出方と性別の関係についてよく聞かれます。お腹の出方と性別の関係に根拠は全くないということも、皆さんに知っていただきたい事実の一つです」

−−妊婦さんは気にしないで良いとは言え、妊婦さんに声をかける方が言いたいことを言っていいわけではありません。妊婦さんへの声かけで気をつけたい言葉があれば教えてください。

「“息子似の男の子がいいわ”“年子はかわいそう”“妊娠は病気じゃないから”“妊婦は2倍食べなきゃ”などは、妊婦さんからよく聞く言われて嫌だった言葉ですね。

妊婦さんみんなが何事もなく、出産を迎えられるとは限りません。“順調?”は何気ない一言ですが、順調でないと思っている人からするとしんどい言葉でしょう。

予定日が近づいて“まだ産まれないの?”とあちこちから聞かれ、ストレスに感じる人も多いようです。

お腹の出方の話も“順調?”も“まだ産まれないの?”も、妊娠の経過を心配してくださっての質問なのだと思います。しかし妊娠の経過は、実は妊婦さん自身が一番不安で心配なセンシティブな話題です。まわりが触れるのはそれなりに気を使った方がいいと思います。

妊婦さんと話すとき、少しだけでもいいので、ご配慮いただければありがたいです。もし妊婦さんを心配してくださるのであれば、その日の体調は大丈夫かとか、“何かあったらサポートするよ”など、気持ちに寄り添った言葉の方がいいかもしれません」

◇ ◇

「妊娠や子育てに関しては、昔からの迷信のような話が今でも普通に信じられていることがあります。また一世代前の常識が今の常識と違うこともざらです。そのような間違った噂に流されないように、気をつけて欲しいです」 と話すよもぎ産婦人科医さんは、妊娠や出産、月経、更年期など女性の健康について、TwitterやBLOG、You Tubeで発信。

知っていると安心できる情報なので、ぜひチェックしてください。また、気にかかることがある場合は、自己判断せず、必ずかかりつけドクターや専門医を受診するようにしましょう。

よもぎ産婦人科医さん
■Twitter  @Yomogi_OBGY
■BLOG https://yomogiblog.com
■You Tube https://www.youtube.com/channel/UCCCp6UaIhtK_e3s9SBbXSlw

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