鉛筆の濃さの違いが一目瞭然!…8H〜8Bの“描きくらべ”が話題に 「マークシートに6B愛用」「筆圧強いからH」思い出寄せる人も

二木 繁美 二木 繁美

ツイッターで紹介された「ステッドラーの鉛筆、8H~8Bまで描きくらべ」。ズラリと並んだ鉛筆の下には、その鉛筆で描かれたゆる~いタッチの人物画が。描いたのは、時松(@tokima_t)さん。その「イラストがかわいすぎる」と彼女の作品の魅力に加えて、鉛筆の性質についても注目が集まった投稿について、時松さんにお話を聞きました。

鉛筆に記されている記号は、芯の硬さや色を表すもので、8HのHは「HARD(硬い)」の意味。Fは「FIRM(しっかりした)」Bは「BLACK(黒い)」という意味で、硬い順に記号を並べるとH、F、HB、Bの順になります。Hは「数字が大きいほど芯が硬く、色が薄くなる」。Bは「数字が大きいほど芯がやわらかく、色が濃くなる」など、それぞれの鉛筆の特性がツイートで描かれている人物にも現れています。今回彼女が使用したステッドラーとはドイツの文具メーカーで、鉛筆に関してはデッサンや製図用から子ども向けのかきかた鉛筆まで、幅広いラインアップがそろっています。

「筆圧強いからHが使いやすかったな」「共通一次世代なのでマークシートには塗りつぶしが早い6Bを愛用してました」「こういう考察大好きです。素晴らし過ぎて感動しました!!濃さ硬さへのコメントも言い得て妙で思わず笑ってしまいました。」「絵もほっこりするし、こういうことをやってみる行動力も良いなぁ。ちなみに私は職場でメモするとき4B使いがち、睡魔に襲われても何なら寝てても書けるほどの芯のやらかさクセになる」「使いやすいB~4Bを使いがちでしたが、薄い色にも憧れます」と、好みのタイプを上げる人も続出しました。

また、実際に絵を描く人々からは「わたしは高校時代普段使いにFを愛用していました「ステッドラーはデッサンもいいけど、製図もキレイに描けるよね。」とツウぶるコーコーセーでした」「デッサン始めた頃、ステッドラーの鉛筆、どこからどこまで買えばいいのか迷ったので、そういう方にも参考になりそうです」「デッサン高校でしてた時は3H~6Bでお世話になったなぁ…」とそれぞれの思い出を語る人も。

作者である時松(@tokima_t)さんに、このイラストを作成した背景などを聞いてみました。

夫の祖父の遺品から発見し…

ーーこのイラストは、何のために制作されたのでしょうか。

夫の祖父が絵を描いておりまして、遺品としてステッドラーの鉛筆がたくさんのこっていました。そちらの鉛筆と自分のものをあわせたところ、ほぼ全種類の濃さを網羅できたため、それぞれの芯の濃さを一覧にしてみたくなり、描き比べたイラストを制作しました。改めて一つ一つの濃さに違いがあってびっくりしたので、その素直な感想も絵に記載しました。

デッサンや製図に使用されるステッドラーの鉛筆は、そもそも日常の筆記用具としては、あまり馴染みがない人が多いと思います。わたしは美大受験をしたのですが、受験の課題にデッサンの試験があるので、その時にひと通りそろえました。

ーーこちらは、いつ頃購入されたものなのでしょうか。

購入時期は、夫の祖父の遺品とあわせるとかなり古く……20年から30年くらい前のものもあるかと思います。

ーーステッドラー社の鉛筆を選んだ理由があれば、教えてください。

わたしが受験した当時(2000年代初頭)の話ですが、受験デッサンで使用する鉛筆は主に、ステッドラー社か三菱のHi-uniの鉛筆が2大勢力となっており、わたしはステッドラー派でした。ステッドラーは硬質で、全体的に冷たいイメージの色。Hi-uniのほうは柔らかく色も濃く、暖かいイメージなので、使う人によって好みが分かれるように思います。

現在、制作のメインにはシャープペンシルを使っていますが、芯は三菱のHi-uni(2B)を愛用しています。月光荘画材店の8B鉛筆も、極太できめが細かく、それでいてなめらかで色がしっかりとのるため、気に入っています。

それぞれの書き味とは?

画面にズラリと並ぶ鉛筆。作品とともに使用した鉛筆も撮影し、それぞれの特徴についてもユニークな感想を添えた時松さん。例えば、一番濃くて芯がやわらかい8Bについては「バーベキューの炭」、EEは「レア」、7Hは「紙をえぐるための道具」。それぞれの書き味についても聞いてみました。

ーー「凶器」と描かれている、8Hの書き味について教えてください。共感していらっしゃる方も多かったですね。

淡い影や、遠方の霞んだ表現などを描くのに適している……と思いますが、そもそもわたしはデッサンが苦手だったので、使いこなせていないです(笑)。一番芯が硬いので、凶器扱いしてすみません。でも刺さったら、間違いなく血が出ます。

ーー2Bが一番好きとのことですが、その理由を教えてください。

芯の柔らかさや、色の濃さが自分の筆圧に合っていて使いやすいからです。

ーーBとHBの「学校」は、どこから来たイメージなのですか。

わたしが小学生の頃は、鉛筆はBかHBと決まっていたので、そのイメージです。ちょっと調べたら今は違うらしくびっくりしました。一定の年齢層の人にしか伝わらない感想ですね……。

ーー8Bに至っては「バーベキューの炭」と書かれていますが、どういう描写に使えるのでしょう。

仕上げの目立たせたいところへのアクセントとか、奥行きのある影など、もしくは真っ黒に塗りつぶすのに良さそうです。ただ、現行のステッドラーの8Bはもう炭じゃなくて、いわゆる鉛筆っぽい芯になっているようで、もっと使いやすそうですね。こちらも炭とか言ってすみません。

不特定多数の「人々」を描いています

ーーイラストの子たちは、どんなイメージで描かれたのですか。

もともと、このような姿をした人々(群集)を描く作風で制作をしています。この人たちは自分の中で性別や年齢も特定せず、ただの「人」として扱っています。躍動的な人たちを描くことが好きなので、服装は動きやすく、体の線を活かしやすいものとして、このような服を選んでいます。さらに服装によって、どんな人物なのかが判別されないようにするというような意味もあります。あくまで、不特定多数の「人々」なのです。

ーープロフィールに「絵を描いています」とありますが、普段はどういったお仕事をされているのか教えてください。

画家として絵画作品を制作し、個展やグループ展で発表しています。また、イラストレーターとして、チラシやポスター、グッズなどのイラストのご依頼を受けることもあります。最近は日本の伝統芸能である能楽に関連するイラストを制作することが多く、関連する書籍も発売しました。

ーーこれから、どういう作品を描いていきたいと考えておられますか。

これまで、約15年近く、鉛筆やシャーペンを使ってたくさんの人々を描いてきましたが、主に気に入った濃さの芯(2B)しか使っていなかったため、この描き比べを機に、改めてほかの芯も使ってみようと思いました。「凶器」の8Hだけで描く作品とかがあっても面白いかもしれません。

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