登山者だけじゃない、標高2000m前後から注意したい頭痛や二日酔いに似た症状「高山病」

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

 夏休みに登山などを企画している人は「高山病」に要注意です。日常、標高の低いところで生活している私たちにとって、標高の高いところでは酸素不足に見舞われ、さまざまな障害を起こす危険性があります。その症状は時として二日酔いにも似ています。高地や山に行かれる人は高山病にならないように予防対策もしっかり立てておきましょう。

標高2000メートル前後からは高山病に要注意

 高山病は登山者だけがなる病気ではありません。例えば、スイスや南米など標高の高い国や都市に旅行する場合もかかりやすいといわれています。

 標高が高くなるにつれ、気圧は下がり、鼻や口から吸っている酸素量も減っていき、血中酸素濃度も低下します。そうなると、頭痛をはじめ、さまざまな症状が出てきます。これらの症状の総称が「高山病」です。

 標高2400メートルぐらいから起こる可能性が高まり、中には標高1800メートルぐらいでも症状が出てくる人もいて、個人差があります。もともと人体には標高の高いところでも順応しようとする働きがありますが、順応力の高い人でも体調が悪かったり、行程に無理があったりすれば、高山病になる危険性は高まります。また、登山初心者や高地に慣れていない場合は「急性高山病」になりやすいといえるかもしれません。

高山病の症状は?治療は?

 初期症状は頭痛や嘔吐、吐き気、食欲減退、脱力感、疲労感、めまい、ふらつき、不眠などです。「山酔い」ともいわれる症状で、「二日酔いにも似ている」という声もあります。

 効果的な治療方法は高度を下げることです。怖いのは症状が進行して、高地肺水腫や高地脳浮腫を引き起こすことです。高地肺水腫は呼吸困難や胸部のしめつけ感、咳などの症状が見られます。高地脳浮腫になると、運動失調や精神錯乱が起こり、昏睡状態に陥ることもあり危険です。ともに早めの処置(酸素吸入や内服薬による治療など)と、低地へ移動することが重要です。

予防法はゆとりあるプランで、荷物は軽く、スピードは緩く!

 高山病の予防としては、ゆっくり体を慣らしながら高所に登ることです。重い荷物も体の負担を高めるので、荷物はできるだけ必要なモノに絞りたいものです。また、旅行などで飛行機が高所の空港に着くこともありますので、薬剤を利用する対処方法を考えてもいいかもしれません。

 登山する場合などは高山病の知識もしっかり身につけて、兆候をできるかぎり見逃さないことです。高山病の症状らしきものがあれば、今いる以上に高度をあげないことです。さらには高度を下げることで、症状が軽減できるかもしれません。無理は絶対に禁物です。

 高山病が気になる人は、高地や登山に行く前に専門医と相談してみてはいかがでしょうか。

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