もう一度、あの子に会いたくてたまらない…。愛猫を亡くすと、そんな想いで心がいっぱいになり、「ペットロス」という言葉では片付けられないほどの喪失感を味わうことも。Ponoco33さんは2021年の12月、21年間連れ添った愛猫・なー様を失い、絶望。しかし、数カ月後、生まれ変わりだと確信できる子猫に巡り合い、生きる希望を取り戻すことができました。
亡き愛猫が4回も夢に現れて
生ける屍のようだった――。愛猫が天国へ旅立った後の自分を、飼い主さんはそう表現。
「思い出しては泣き、早く会いたい、会いにきてくれないのなら、私が天国へ行くしかないのかなと。この世に興味が持てなくなり、真っ暗闇の世界にいるような感覚でした」
しかし、ある日を境に、なー様が夢に出現するように。
「2回は生前と同じ姿で、あと2回は白系の子猫の姿。毛色を変えて生まれ変わり、そちらに行くよと教えてくれているのかなと思ったんです」
そこで、ネットの譲渡情報を見たり、公園などにも足を運んだりし、なー様の四十九日以降に生まれた白系の子猫を探しましたが、「どの子も何か違う」と思う日々…。
もしかしたら、天国の居心地がよすぎて、もう私のところへは帰ってきてくれないのかもしれない…。やがて、そう感じるようになった飼い主さんは捜索を1カ月半ほど中断。悲しみの中、なんとか日常を送っていました。
しかし、6月14日。ふと地元の保健所が掲載している譲渡情報を見たくなり、アクセス。すると、そこには白系の子猫が4匹。そのうちの1匹を見た瞬間、心がキュッとしました。
「眼差しや醸し出す雰囲気、存在感が、まさになー様で。夢の告知通り、白系子猫であるだけでなく、しっぽがなー様と同じ毛柄でした」
子猫は偶然にも、なー様と同じく女の子。驚くことに保健所でつけられていた登録番号は、なー様と公園で初めて会った日付でした。
間違いない、この子がなー様の生まれ変わりだ。そう思ったため、翌日、電話予約し、対面。そこで、またしても、なー様からのメッセージだと思えるような光景を目撃しました。
「なー様の死後、私は生きる気力を失っていたのですが、対面した白い子猫が生まれた5月頃、なぜか突然、活力が湧き、なー様との思い出を形にしようと紫の花がついた猫型クッキーを作りました。だから、対面した子猫が紫色の首輪をつけているのを見て、驚いたんです」
その子猫には他にも複数、譲渡希望者がいたため、審査選考を待つことに。
「すぐ申し込みが締め切られたので、もし保健所のホームページを見たり、観覧に行ったりするのが1日でも遅れていたら、出会えていませんでした。審査を待つ間は、なー様に違いないから私のもとにくるに決まっていると確信めいたものがありましたね」
そして、数日後。保健所から連絡を受け、飼い主さんたちは正式に家族となりました。
名前は1番しっくりくる、「なー様II」に。
「冬至の日にお空へ昇り、夏至日の前日で惑星一挙直列時に帰ってきてくれるなんて。なんて粋な天の計らいなんだとびっくり。出会いというのは、突然で必然なのだなと実感しました」
前世の記憶が残っているような行動に驚愕
一緒に暮らし始め、飼い主さんはなー様IIちゃんが生前のなー様と好むものや行動が同じであることに気づきました。
例えば、座る椅子。
「なー様は座る椅子が決まっていたのですが、なー様IIも他に椅子はたくさんあるのに、なー様が定位置としていた椅子に座るんです」
そして、飼い主さんの入浴後にお風呂場へ行き、床の水を飲む習慣も同じ。
「前世の記憶が残っているとしか思えません。迎えた初日から、膝に乗り、スリスリゴロゴロ。数日でお腹の上に乗るようになり、添い寝もしてくれました。まるで、何年も一緒にいるよう。お互い、全く垣根を感じませんでした」
また、なー様IIちゃんは子猫にもかかわらず、生前のなー様と同じく、飼い主さんの状況を把握して見極める物分かりのよさを見せてくれることも。
「私が疲れて休みたい時は察知して遊びの強要はせず、自分も合わせて寝ます。窓際で日向ぼっこをしながら庭作業を見守ってくれるのも、なー様と同じです」
唯一違うのは、ヘソ天で眠るところ。
「なー様はもともと公園の野良ちゃんだったからか、ヘソ天で眠ることはありませんでした。もしかしたら、前世の猫生を経験後、野良特有の警戒心が溶けたのかなと思っています」
なー様IIちゃんは、かわいい威嚇ポーズ「やんのかステップ」や自由奔放な寝相を見せたり、高所へ登ろうと果敢にチャレンジしたりと、日々、無邪気な姿をたくさん見せ、飼い主さんに笑顔をプレゼント。
「口の下にある毛が生えていないピンクの部分が、まるで舌を少し出しているように見えて愛くるしい。私の後をずっとついて回り、いなくなると寂しそうな声で鳴いて戸の前で待つ、寂しがり屋な甘えん坊です」
飼い主さんたちは、「取ってこい」や「ボール遊び」でスキンシップを取ることもあります。
「愛する存在がそばにいることで、心の奥の光が再び灯りました。なー様IIのお世話をするため、この世でまた頑張っていこうと思います」
自分にとっての「運命の猫」はなー様だった
実は、なー様が肥大型心筋症で亡くなった後、飼い主さんのお父さんも心臓の病気を患い、緊急入院。
幸い、早期発見できたため、大事には至りませんでしたが、飼い主さんはなー様が家族の危機を事前に察し、病気を引き受け、身代わりになってくれたのではないかと思っていました。
そうした理屈では説明できない奇跡が、なー様と過ごす中では、たくさん起きていたからこそ、飼い主さんは今回の奇跡もすんなり受け止められたのだそう。
「なー様は、無償の愛を捧げることの尊さや最も愛する存在と別れることの辛さを教えてくれました。種、性別を超えた打算やエゴのない本物の愛と深い絆が私たちの間にはあった。だからこそ、今回のような出来事が引き起こされたのだと思っています」
そう語る飼い主さんは、なー様IIちゃんとの出会いを通し、人にはそれぞれ深い縁や絆で結ばれている「運命の猫」がいるのではないかと思うようになりました。
「運命の人がいるとはよく聞きますが、「運命の猫」もいて、今世や来世で再会できるようになっているのではないかなと。私にとっての「運命の猫」は、なー様でした。あまりに嘆き悲しんでいたのを見て、しょうがないわねと、今世でまた会いにきてくれたのかもしれません」
亡き愛猫の面影を感じさせる、新たな愛おしい命。その温もりと、21年間の思い出を大切にしながら、飼い主さんはこれからも生きていきます。