「濃厚接触者に待機を求める理由」を改めて考えてみる 第7波と向き合う<後編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

医療・介護従事者が濃厚接触者となった場合

医療や介護従事者が、ご家族が感染したことなどで濃厚接触者と認定され待機することで、職務に従事できなくなることによる人材不足が指摘されます。

実は医療・介護従事者については以前から、濃厚接触者になった場合でも、ルールとして「無症状で、毎日業務前に検査を行い陰性が確認されていれば業務に従事できる」とされてはいるのですが、実際はなかなか難しいと思います。クラスターの発生を懸念し、医療機関や介護施設で一定の待期期間を設けている場合が多いですし、保健所から期間を定めた出勤停止の指示が出されることもあります。

医療機関や高齢者施設においては、施設内でクラスターが発生すると、重症化リスクの高い入院患者や施設入居者の方が感染してしまうことになり、周囲に与える影響は一般の方よりも大きいという状況にあります。どんな検査も精度が100%でない以上、「検査結果が陰性だから業務に従事させた」ことで生じ得る懸念は払拭されませんので、濃厚接触者となった医療・介護従事者が職務に従事できないことによる人材不足が続いてしまうと思いますし、踏み切れない状況もよく分かります。

少なくとも、現場で必死で対処する医療・介護従事者の方々のことを思い、また、医療・介護が提供されなくなることは、広く社会にマイナスをもたらすことであることも考えれば、仮に感染事例が発生したとしても、世間が、医療機関や介護施設を責めたり、風評被害を起こしたりしないという民度の成熟が求められると思います。

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