沖縄の海底でウミヘビが見せた驚異的な回転運動が話題を呼んでいます。「トンガリホタテウミヘビ」とみられるウミヘビは、砂地に隠れていた細長いゴカイを丸呑みしている最中、突如ドリルのような高速回転で地中のゴカイを巻き取り、そして食べずに去っていきました。石垣島のダイビングショップ「UmiMotto」のインストラクターで、動画を撮影した平尾優子さんに聞きました。
ゴカイを振りほどきたかった?
ウミヘビは爬虫類と魚類の2種類が存在し、爬虫類のウミヘビは有鱗目コブラ科、魚類の「ウミヘビ」はウナギ目ウミヘビ科です。トンガリホタテウミヘビはウナギ目で、魚類の仲間となります。
ーー動画を撮影したのはいつごろですか?
「2019年9月23日、竹富島南側のダイビングスポットでした。いつもは砂地から顔だけ出しているウミヘビが、珍しいことに全身が見える状態になっていました。『これはおかしい』と思って様子を見ていたら、ゴカイの仲間のような生き物を食べ始めたので撮影したんです」
ーーウミヘビは通常、ローリングして食べるものなのでしょうか?
「私は石垣島で15年潜ってますが、ウミヘビが捕食しているのを見たのはこの時が初めてです。ものすごく珍しい場面なんです。実は高速回転を撮影した1カ月後に、同じ個体とみられるウミヘビがゴカイを完食した様子を撮影することができました。その時はローリングせずに呑み込んだので、(獲物を砂地にたたきつけるなど)食べるためにとった行動とも言えないのかな…と思っています。ローリングした時は結局、獲物を食べずに放置してますからね」
ーー呑み込もうとした虫が、ウミヘビの体内でかみついた可能性はありますか?
「虫がウミヘビを刺激したのかもしれませんね。ローリング直前、ウミヘビが『おえっ』ってなってる気もしますよね。顔が青ざめているようにも(笑)。ウミヘビが完食した時の動画と見比べると違いが分かります」
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撮影した平尾さんは石垣島に潜ってきた15年間で、ウミヘビの捕食シーンを目撃したのは高速回転した2019年9月と、完食した10月の2度だけだと言います。美しいサンゴ礁が広がる竹富島のダイビングスポットで撮影されたウミヘビとゴカイの戦い。漫画「キン肉マン」で錐(きり)もみしながら回転する必殺技「スクリュー・ドライバー」を持つロボ超人になぞらえ、「ウォーズマンかな?」「めっちゃ回ってるw」「ワニのデスロールみたい…」と驚きの声が上がり、平尾さんの知人がアップしたTwitter動画は約380万回再生されました。