「三田のスーパーの魚コーナーにシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)売ってるんやけど…」というドッキリのようなツイートをして注目を集めたのはkerobee(@kerobee125)さん。大きな発泡スチロールのケースに収まりきれず尻尾がはみ出したサメが丸ごと売られていたそうです。
「食べれるの?」「す…すごいですね 値段が気になる」「たしかに鮮魚っちゃ鮮魚でしょうけど…これはビビる」とリプ欄も騒然。kerobeeさんのコメントによると、兵庫県三田市(さんだし)にある「スーパーセンター トライアル 三田店」というスーパーマーケットで目撃したのだそう。
kerobeeさんにお話を聞きました。
──この店舗はよく利用しているのですか?
トライアル三田店は初めて訪れました。トライアル西宮店はよく行くのですが、今回三田市にも出来たよと聞いたのでどんな店舗の大きさかな?と思い訪れてみました。やはり品揃えは良かったですね。駐車場も広いですし。そういえば、西宮店ではめちゃくちゃ大きなタコの吸盤付きの足を販売していたこともありました。
──この光景を見た瞬間のお気持ちは?
サメを見た瞬間、大きな模型を置いてるなぁと思いました。でもすぐに「本物だ!」と。あまりの大きさに二度見してしまいました。
──周りの方の反応は?
別のお客様が頭を持ち上げて「口ってどうなってるんやろなぁ」って言って見ていましたね。皆さん結構気にはなっていたと思うのですが、遠巻きに見てる感じでした。興味津々的な空気はありましたね。私の他にも写真を撮られていた方はおられました。
──「サメ、ちょっと買ってみようかな」という気持ちは起こりましたか?
私が訪れた時は丸々一匹売りだったので購入出来なかったんですけど、後ほどバラ売りをしていたみたいで美味しそうでしたね。もし今度バラ売りされていたら必ず購入します。
──「サメを売るくらいだからこれも売って欲しい」というような希望はありますか?
個人的にめちゃくちゃ大きな野菜(シイタケ)があったらいいなぁって思います。三田という土地柄、緑も多く野菜が新鮮な感じの印象なので。シイタケの大きいやつはステーキ並みに食べ応えありそうですね。
「大きなサメ、なぜ仕入れたの?」スーパーの鮮魚担当者に聞いた
たまたま初めて訪れたスーパーでこんな売り場に遭遇したら驚きますよね。
しかし、このサメはどこからやってきて、その後どうなったのか気になります。
「スーパーセンター トライアル 三田店」水産部の仕入れバイヤー・清水健さんにもお話を伺いました。
──このシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)はなぜ、どうやって仕入れたのですか?
「こんなの入ったよ」と仲買業者が知らせてくれ、そこから仕入れました。緊急事態宣言発令中のことでしたので、「各地でのイベントが中止になって楽しみが減ったファミリーの皆さんに、スーパーでの買い物ついでに楽しんでほしい。そしてお子さんに魚に興味をもってもらいたい」という思いで仕入れました。
普段からも売りたいというよりも楽しんでもらいという気持ちが強くて、こういった珍しい魚も仕入れるようにしています。トライアルの中でも、三田店、寝屋川店、箕面店では特に、仕入れの時に珍魚を取り合いしています。普段は担当者同士が仲がいいんですけど、仕入れの時だけは違うんですよ(笑)。みんな必死です。
──サメに関しては三田店に軍配が上がったんですね。サイズはどれくらいだったのですか?
全長は約3mで重さは200kg以上でした。運ぶのが本当に大変で、男性4、5人でどうにかやっと持ち帰りました。これまでも80kgのメバチマグロや60kgのイシナギを販売したことはあったのですが桁違いでしたね。
──最初は一匹丸ごと販売していたそうですが、最後はどうなったんでしょうか。
このままでは売れないとわかっていたのですが、ネタ的に9500円という値付けをしていました。もちろん売れませんでしたよ(笑)。翌日にちゃんと捌いて販売しました。解体は普通の魚と同じ流れなのでそこまで大変じゃなかったですね。
ただ、サメは独特な匂いやクセがあり、巨体化するほどに強くなるんです。それを消すために香りのいいバジルオイルソースで味付けした状態で販売しました。焼くだけで簡単にお召し上がりいただける形です。ブロックと切り身でだいたい360切れになったと思います。お値段はもうサービス価格で6切れ入り198円とさせていただき、おかげさまで完売しました。
──また入荷があったら、二度目のサメ仕入れも実行されますか?
はい、仕入れます! 今回のことがSNSやネットニュース、テレビで話題になったこともあって、他府県の方からも「まだサメ売っていますか」という問い合わせをいただいたりしているんです。またご提供できたらいいですね。
突発的な仕入れになるのでなかなかチラシなどには載せられないのですが、売り場に来ていただいてサプライズ的に珍魚に出合うというのもいいんじゃないでしょうか。魚離れが進んでいる昨今ですが、こういったことをきっかけにたくさんの方に魚を食べていただけるようになったら嬉しいです。
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鮮魚担当バイヤーの熱い思いで仕入れられたシュモクザメ。子どもも大人もワクワクさせてくれ、しかもたくさんの人がおいしく味わったというのが最高ですね。次はどんな珍魚が売り場を賑わせてくれるのか、続報を楽しみにしています!