巨大なダイオウイカが、街なかの河口に漂着 地元の水族館館長「この時期は様々な生き物が日本海沿岸に漂着します」!?

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「隣町の越前町でダイオウイカの漂着がありました」と投稿されたのは深海に生息するあの巨大なイカ(約3m)が街なかの河口に浮かぶ動画。その姿には12.5万いいねもつき、「嘘やろ」「川にこんなもん漂着したらビビる………」と驚きの声が相次ぎました。

この目を疑うような光景を投稿したのは、今春オープン予定の水族館「くにみクラゲ公民館」の田中俊之館長。福井市越前海岸沿いにあります。水族館で職員を経験した後に独立し、地元・福井で全国的にも珍しい「クラゲ専門店」や「クラゲbar」を経営していたこともあるそうです。

――いったいどうやってこの漂流したダイオウイカを見つけたのですか?

「今までの仕事の流れから、福井県の水産課や港の関係者と横のつながりがあるのですが、今回は県の職員さんから電話が掛かってきたので見に行きました」

――「この時期は様々な生き物が日本海沿岸に漂着します」ともツイートされていましたが、こういうことってよくあるのですか?

「はい、そうなんです。今はもう、その時期の終わりの方なんですが、例年12月末~2月上旬あたりの時期に漂着があるんです。夏に迷い込んで、日本海の水温低下で冬の寒さに耐えられず、弱って浜に打ち上げられるというパターンですね。今回も、川のように見えると思いますが、港から20mくらいの河口なんです」

――過去には何が漂着したんですか?

「ウミガメやその子ガメ、リュウグウノツカイにサケガシラ、沖縄から暖流に乗ってきたハリセンボンなどがありましたね。何年か前に4mくらいのクジラが打ち上げられたこともありました。そのクジラは数日経ったらまた波にさらわれて流されてしまいましたね。寒くて、荒れる、日本海特有のことなんだと思います」

――漂着した生き物たちってこの後どうなるのでしょう?

「打ち上げられる=ほぼ瀕死の状態なので、大抵は計測して記録して終わりです。今回のダイオウイカは、近隣の飲食店「海の幸食処えちぜん」に調理していただいたそうです。私は食べていませんので分からないですが、びっくりするぐらい塩辛かったと聞きました。

このダイオウイカを処分してしまった後に、県外の大学からサンプルが欲しいという連絡がありました。この辺りのネットワークをもう少し強化することで、情報をもっと共有し合えるようになりたいと思います」

――田中さんがこの春オープンする「くにみクラゲ公民館」でも「イカスミ書道体験」のワークショップを予定しているんですよね? 奇遇ですね。

「そうなんです。『イカスミ書道体験』を開催する大義名分ができた気がしています。もともとは、せっかく来てくださった方に少しでも何か思い出を形にして持って帰っていただければと思って。ただ、普通のイカスミだと生臭いしにじむんですよね…。初の試みなので、どうすれば一番楽しんでもらえるか、墨や半紙も研究中です」

◇  ◇ 

田中さんが、2022年4月の本オープンに向けて奔走する「くにみクラゲ公民館」は元公民館を活用した施設です。10種類以上のクラゲを展示し、暗闇の中で幻想的にクラゲが浮かび上がる空間を展開予定。さらには、元調理室でアジやヒラメなどの魚を中心に紹介、和室ではヤマメなどの淡水魚も展示しながら渓流を再現する予定とのこと。

小さな施設ですが、田中さんの専門知識をいかした説明やワークショップ、地域の人とのつながり、季節ごとに変わる日本海の様子を感じられる展示内容が楽しみです。クラゲ雑貨を販売するオンラインショップ「海月図鑑」も運営。

くみにクラゲ公民館

■Twitter https://twitter.com/kunimikurage_ph
■Instagram https://www.instagram.com/kunimikurage/

海月図鑑 
■公式サイト https://seadragon.thebase.in/
■Instagram https://www.instagram.com/kurage_zukan/

(まいどなニュース/Lmaga.jp特約・時友真理子)

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