3年ぶりに復活!運行再開した函館名物レトロ電車・箱館ハイカラ號 「この日が来るのを待ち望んでいた」

山本 智行 山本 智行

 チンチン!

 懐かしい響きが北海道の港町・函館に帰ってきた。レトロな外観や内装で絶大な人気を誇る路面電車「復元チンチン電車 箱館ハイカラ號」が3年ぶりに定期運行を再開し、観光客の目を楽しませている。函館市電を運営する函館市企業局交通部によると7月9日から運行しており、期間は10月末までの土日祝日と8月12日、10月31日の予定。天気が悪いと運休するが、今回は帰阪ギリギリで運良く乗車することができた。

 この7月16~18日に掛けて函館に滞在する機会に恵まれた。ところが、最初の2日間は生憎の空模様。時折、バケツをひっくり返したような激しい雨に見舞われた。この「箱館ハイカラ號」は悪天候だと、例え土日でも運休する。「今回は無理かも」と諦めかけていたが、滞在最終日となる「海の日」の19日になって、ようやく天気が回復。期待して函館駅前に向かうと、カメラを手にした鉄道ファンが集まっていた。

 路面電車は函館の風景にマッチし、名物にもなっているが、紅白ツートンカラーのハイカラ號はやはり特別な存在。「ご乗車される方は通常の電車の5割増し」と市の担当者は話す。

 実際、乗車してみると当時の制服をまとった女性の車掌がいて丁寧な対応。うれしいことに記念の乗車券を渡してくれた。内装もレトロ感満載。この日は曇り空だったが、車内の窓は開けられ、函館らしい涼しい風が入り込んで来るのと同時に感染対策にもなっていた。

 そんなハイカラ號のルーツは千葉県成田市。1910(明治43)年に「成宗電気鉄道」が開業し、新造木造単車15両で営業運行を開始した。18(大正7)年に函館市に5両が譲渡され、客車として活躍。その後、34(昭和9)の函館大火で4両を失ったが、焼失を免れ、唯一残った39号車は除雪用のササラ電車として市民に貢献してきた。

 そんな中、92(平成4)年に市制施行70周年記念事業の一環として、チンチン電車を復元する声が高まり、工事がスタート。台車は改造前の米国ブリル社製のものを引き続き使用し、車体は当時の図面を基に新造したそうで、93(平成5)年8月から「箱館ハイカラ號」の愛称で営業運行を開始している。

 ところが、2020年と21年と新型コロナウイルスの感染が拡大。ハイカラ號は、一般の市電と比べて車体が小さく”3密”になりやすいことや車掌の接客業務を伴うことから1993年の運行開始以来初めて運行を見送っていた。ちなみに、コロナ前の2019年の利用者は1万1000人だったそうだ。

 チンチン。港町に、心地よい音が響く。東京から来たという30代の男性は「この日が来るのを待ち望んでいました。函館競馬とハイカラ號に乗るのが今回の旅の主な目的。午後に、もう一度乗る予定です。コロナが拡大していますが、なんとか最後まで運行できることを願います」と話していた。

 ハイカラ號の走行区間は一般の市電と同じ。乗車料金も市電と同じで210~260円。現金の他、交通系ICカード(Suica、PASMOなど)も利用可能だ。運行区間とダイヤは以下の通り。

駒場車庫前9時57分→函館どつく前10時36分
駒場車庫前12時08分→谷地頭12時47分
駒場車庫前14時07分→函館どつく前14時47分                                     湯の川15時46分→駒場車庫前15時51分 

函館どつく前10時47分→駒場車庫前11時28分
谷地頭12時57分→駒場車庫前13時39分
函館どつく前14時57分→湯の川15時43分

 函館市は箱館ハイカラ號の位置情報をスマートホンなどで確認できる位置情報サービスも提供。問い合わせは函館市企業局交通部、電話0138(32)1730へ。

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