「メルカリで本を買った。状態を確認していなかったのか、届いたら、マーカーで線がたくさんひかれていた。「うわっ」と思いながら、読み始めたら、線をひきたいところが、前の主と完全に同じ。気が合うのよ。一生会うことのない人が、引いた線をガイドとして読書をたのしんでる。めずらしいエコの形だわ」
メルカリで古本を購入した際の新しい楽しみ方をつぶやいた、なずめろさん(@naz_iro)。
投稿には、同じような経験を持つ人たちから「中古教科書に赤線が引いてあってマジ助かった」「古本の価値は線引きとコメント」「前の持ち主の旅行計画のメモが挟まっていました!旅行を準備するワクワク感が伝わってきて、幸せな気持ちに」などのコメントが。
また、「えっ…てなってからの取り返しがスゴイ優しい」「味な楽しみ方」と、ネガティブに感じたことをポジティブに切り替えたなずめろさんの姿勢を讃えるリプライも。
7.5万件ものいいねがついた投稿について、なずめろさんに詳しいお話を聞きました。
値段だけじゃない、出会いがある中古本の価値
――古本での新しい出会いを楽しむ人たちからのコメントもたくさんありました。
「こんなにたくさんの方が共感されて、それにまつわる体験をされているんだ、と驚きました」
――リプライでのなずめろさんとのやり取りも味がありましたよね。
「印象深いものばかりでした。
“実家の母からのハガキが入っていた”
“彼氏に買ったらしい彼女のメモがあった”
“出品者の方とやり取りして「自分はこの本で受かりました!頑張ってくださいね」とメッセージもらって本屋で購入した新冊より励みになってる”
“「私で3人目です」という本で受かって「私で4人目です」とつけて売った”
“以前買った本、ラインが3ページまでミッチリひいてあり、どこで挫折したかが判る本だったことも思い出しました”
“逆の経験で、え~そこ線引いてるのか。この人はこうゆう性格でたぶん…って妄想して、読書に集中できなかった”
など中古で本を買った時の経験を書いてくれたものは、特に印象に残っています」
――リプライから届いた本にまつわる思い出話もドラマティックなものばかりでした。
「図書室で借りた本の貸し出し履歴に、母の名前があったというコメントや、好きな人に参考書を貸したら、線が引いてあって助かったとお礼を言われたというお話ですよね!たくさんの素敵なコメントに感銘を受けて、“だれかの感性にふれて共感すると、つながりを感じるのって「素敵なギフト」 境遇や肩書をこえて、共鳴できるのは本当にうれしいこと。そういう理由で普段Twitterもたのしんでます。”と私もツイートしました」
――ちなみに、購入された本はどういうジャンルの本だったのですか?
「マインド整理術の本なので、ライフハック系です。線が引いてあったのは、前半から中盤まで。 あまり状態について考えずに、読めたらいい、くらいの感覚で急いで購入しました。不満はなかったものの、最初に線引きを見た時は読みにくかったら嫌だな、と。
でも、出品者の方も、私と同じように、整理がうまくいってないのか、同じところでつまずいていたんだな、悩みが似てそうだな、などが感じられて…。読み進むうちに、仲間のような気持ちで安心できました(笑)」
◇ ◇
「自分の手の中にあるもので幸せを感じられるか、無いものを求めて不幸だと嘆くかの違いと似ています」というコメントにも共感したというなずめろさんは、
「自分とにている感性に出あうと、うれしいきもちになる。その人の感じたことや発見を、受けついだり、のぞき見できるのは、たのしい。たまたま出会った、値段だけじゃない中古品のよさ。フセンやマーカーも「共感や納得のシルシ」と思うと、また新鮮かも。新品より価値アリな話。」とツイートしています。
本を読むという行為は、ひとりで行うこと。でも、どこかの誰かが引いた線を見つけたら、その瞬間、自分はひとりぼっちじゃないという気持ちになるはず。中古本も捨てたもんじゃありませんね。
ただ、今回はなずめろさんが購入前に本の状態についての説明を確認せず、ポジティブに受け止めた例となりますが、書き込まれた本などを出品する場合は、受け取り手の気持ちが変わってくるので、ひと言記すのをお忘れなく。
■なずめろさんTwitter https://twitter.com/naz_iro/