仕事と介護を両立中のビジネスケアラーは「40代後半から一気に急増」…「複数人介護」をしている人は約2割に

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昨今は少子化でケアする側の人口が減り、共働きと晩婚化も進む中、ビジネスケアラー(仕事と介護を両立中のビジネスパーソン)の負担は格段に大きく、複雑化しつつあるといいます。全国の従業員500人以上の企業従業員3万878人を対象に調査をしたところ、仕事と介護の両立に差し迫って向き合うビジネスパーソンは、「40代後半〜50代後半で一気に急増」する傾向が見られ、20、30代にも1割弱存在することがわかりました。また、ビジネスケアラーがケア対象としている人数については、約5人に1人が「複数人介護」であることもわかったそうです。

株式会社リクシスが2019年5月~2022年5月に実施した調査で、同社の提供する仕事と介護の両立支援プログラム「LCAT」の企業受講者の回答データを基に分析したといいます。

仕事と介護の両立に差し迫って向き合うビジネスパーソンがどのくらいいるのかについて、「既に要介護認定者を日々サポートしながら仕事をしているビジネスパーソン」と「いつ介護が始まってもおかしくないと想定されるビジネスパーソン」を合わせた割合は「20~29歳」(9.17%)、「30~39歳」(8.66%)、「40~44歳」(9.90%)となった一方で、「45~49歳」(18.28%)、「50~54歳」(37.94%)、「55~59歳」(56.00%)、「60歳以上」(59.83%)と、40代後半〜50代後半で一気に急増する傾向が見られました。ビジネスケアラーの若手にまで裾野が広がりつつあることや、中高年になると「誰しもアタリマエ」にビジネスケアラー化する現状が浮彫りとなったそうです。

また、「ビジネスケアラーがケア対象としている人数」については、約5人に1人にあたる16.84%が「2人以上」と回答。少子高齢化に伴い、ケアラーが複数人同時に介護しなければならない状況も確実に増えているといいます。

複数人を介護しているビジネスパーソンからは「私の母親(54歳)が3人同時に介護をしており、私以外の親族が全く介護に協力をしてくれないので、今後が心配」「今まで実母の介護を私と実父が主にやっていたが、実父が最近入院し、体力的にも難しい状況になってきている」といった声が寄せられたといいます。

調査結果から同社は、「こうした複数人介護は、40代後半から50代に『両親や義母が同時にケアが必要になる』事態が典型といえるが、主たる介護者となっている50代だけでは複数人同時介護を踏ん張り切れず、その子供世代(20~30代)がケア支援しなければならない『孫介護』の遠因にもなっている」と説明しています。

次に、「12歳以下の子どもがいるビジネスケアラー」の割合については、「40〜44歳」(40.63%)と「30〜39歳」(40.38%)が4割以上となっており、超高齢社会の加速に加え、晩婚化・出産年齢の高齢化が進む中、育児と介護を両立する「ダブルケアラー」の数も増えているそうです。

ダブルケア中のビジネスパーソンからは、「介護の知識を付けたいが子育てもあり、精神的に余裕がない。介護の予備知識を学んだりすることはない。仕事と子育てと介護、3つの両立の仕方を知りたい」「私には4歳の子どもがいますが、介護と育児の両立を考えたときに不安であり、二人目になかなか踏み切れていません」などの声が寄せられたそうです。

最後に、「両親の介護」を行っているビジネスケアラーのうち、「配偶者」がメインでケアを行なっている割合を見ると、「60歳以上」が最も多かったものの15.46%に留まり、「55~59歳」では10.23%、それ以下の年代は5%未満となっており、「親の介護を配偶者に任せる」という選択が、かつてのビジネスパーソンの典型的なケアモデルでしたが、現状は少数派であることがわかったといいます。

調査結果から同社は、「共働き家庭が事実上の標準となり、ダブルケアや複数人介護も想定しなければならない現状では、配偶者のみに頼る体制構築は、持続可能な選択肢ではなくなりつつあるのが実態だといえる」と説明しています。

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