田んぼが「ほぼパエリア」!? 猛暑の水田でザリガニ死滅 なぜ?「海老の出汁で育つ稲、絶対美味しいはず」

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

「※閲覧注意※ よっぽど暑かったんだろう ボイルされたザリガニが、田んぼに浮いている…」とつぶやき、しろえもん(@shiroemoon)さんがツイッターに投稿した画像が話題です。約22万のいいねがつけられたその画像とは、田んぼの水面に浮かぶ、茹でられたように甲殻が赤く変色したザリガニの姿!

「えぇぇー!田んぼの水で茹で上がるとは恐ろしすぎる暑さ!」「40℃のプールは巨大お風呂なのよw」と、震えるリプライが殺到した「ボイルされた」みたいになったザリガニの様子について、投稿者のしろえもんさんにお話を聞きました。

夏には田んぼ一面に炊きあがったごはんが…

「海老の出し汁で育つ稲とか絶対美味しいやん」
「ほぼパエリア」
「このあとスタッフが…」
「夏には田んぼ一面に炊きあがったごはんが」
「誰かが言った、耕すだけでほかほかに炊きあがる田んぼがあると」
「こうしてグルメ時代は始まっていく…」

こんな大喜利みたいな楽しい声と共に、リプ欄には、「茹で上がるほどの水温で、苗は大丈夫なんでしょうか」といった稲作の心配をする声も寄せられました。

しろえもんさんは撮影の翌日、撮影時と同じ時刻に同じ水田の水温を計測。「水深が浅い場所では43℃。少し深い場所ならば41℃。まだ稲が小さいので、日光を遮ることができず、水温が上昇しやすいのかもしれません」とツイート。水槽などでの飼育下の場合、通常、水温が40度以上になると魚類の大半が死滅するそうです。

果たして、「田んぼに浮いたザリガニ」の死因は猛暑による水温上昇のせいだったのか?気になる今季の稲作の行方も含め、水稲単作経営者のしろえもんさんにお話を伺いました。

稲が小さく、水温上昇しやすい環境でした

ーー今回の状況を撮影されたのは何時頃だったのでしょうか?

「撮影したのは、6月30日のお昼12時になります。かなりの猛暑日だったため、水田の水位を確認するため、巡回している時に発見しました」

ーー「最初は脱皮した殻だと思ったんですが、まさかの茹で上がってました!」「こんなの初めて見たので、驚いています」とツイートされていましたね。今までは、最も気温が高い8月でもこんな光景は見かけなかったのですか?

「8月頃になると稲が大きくなるため、水面は日光が遮られるようになり、このような状況(水温の異常上昇)にはならないと思います。撮影したこちらの水田は、6月初旬に稲を植えたため、稲がまだ小さく、水温が上昇しやすい環境なんです。また、今年の6月後半は降雨が少なく、温まった水が冷めにくかった状況も関係があると思います」

ーー複数の要因が水温の急上昇につながったのですね。今回の画像をよく見ると、おたまじゃくしの姿も見えますね。現在、水田にいるザリガニ以外の生物の様子は…?

「私が観察した限りでは、他の生物への影響はなさそうです。水田に生息するオタマジャクシやメダカ、タニシなどは元気に動いています。ただ、少しでも涼しさを求めて、流れのある場所や水深が深い場所に集まっています」

考えられる死因は水温の上昇による『酸欠』

ーー今回のザリガニの死因はやはり、酷暑で急上昇した水温なのでしょうか?

「今回たくさんのご意見をいただいたのですが、個人的に納得がいくのは『酸欠』でした。農薬が原因では…というご意見に対しては、同じ薬剤を使用している水田もありますが、そちらではこの状況が発生していない場所もあるため、稲がまだ小さく、水温が上昇しやすいこちらの水田の環境が大きく影響していると考えています。

当該水田は、もともと有機物が多い土で、さらに田植え前に堆肥を施用しています。そのため、気温の上昇と共に分解が進む際に酸素が大量に消費されたのではないでしょうか。また、水温が上昇すると水中酸素濃度が低下するようなので、それも相まって死亡したのかもしれません。ただ、当初はそのようなことを考える間もなく、とにかく外がものすごく暑かったので、本当に茹で上がったのだと勘違いしました。なお、ザリガニ駆除を目的とした薬剤は一切使用しておりません

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