仕事中に血の気が引くような大失敗をしたことはありますか? インターネット上で育児漫画を公開する「まぼ」さん(@yoitan_diary)は16歳の頃、そば店でアルバイトを始めました。“事件”は勤務3日目に起こりました。
あり得ない大失敗→お客さんのひと言とは
そば店アルバイト3日目。まぼさんはまだまだ配膳業務に慣れず、腕をプルプルと震わせながら茶そばを運んでいました。
「お待たせいたしました。茶そばのお客さま…」
女性客が「あ、茶そば、私だ。ハイハーイ」。にこやかに手を上げました。まぼさんが女性客の目の前に茶そばを置こうとした瞬間、お盆の上の茶そばが宙を舞いました。「あっ」。茶そばは弧を描き、女性客の頭に盛大に降り注ぎました。まぼさんはパニック状態になります。
「わー!!!すみませんすみませんすみません。どうしよどうしよ…」
そんなまぼさんに向かって頭から茶そばを垂らした女性客が放ったひと言はーー。
「あっは、大当たり」
瞬間は「隠蔽しなくては」→しかし店長が気付き…
「今まで出会った人の中で一番器が大きいのは間違いなく彼女」と振り返るまぼさんに話を聞きました。
──失敗した瞬間の気持ちは覚えていますか。
「お客さまに平謝りしましたが、私はどうにかこの事故を隠蔽(いんぺい)しなくては…と思って慌てふためいていました。(頭に乗った茶そばは)私とお客様で取り除きました。ですが異変に店長が気付き、改めて一緒に深々と謝罪をしてくれました。同じメニューを提供し直し、デザートをサービスさせてもらい、クリーニング代をお渡ししました。お食事代は頂戴しませんでした」
──この経験はその後の人生で役立ちましたか。
「ミスをした時の報告と謝り方を店長から教わりました。当時、高校生の私はミスをした時、怒られるのが嫌でミスを隠蔽しようと考えてしまいましたが、ミスを隠すのではなく、必ず雇用主である店長へ報告すること、店長からは『ミスは誰にでもあるから、その後誠実に対応することが大切』と教わりました」
──女性客から学んだことは。
「茶そばをふりかけてしまったお客様は、当時は『やさしい人でよかった…』くらいの気持ちでしたが、あらためて思い返した時に『あの対応、自分にできるか!? いや、やさしくしてもらったんだから、これからは自分が他者にやさしくふるまっていかねば』と学びました」
大きな失敗をしてしまったまぼさんですが、そば店のアルバイトは続け「結局4〜5年ほど働きました」。その間、女性客と再び対面する機会があったそうです。
「このお客様の素晴らしいところは、その事件以降も何度かお店に通ってくださったことです。その方のお顔を見るたびに申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいましたが、いつも笑顔で対応してくださいました」
女性客の度量の広さにはただただ感服します。
まぼさんは最近になりこの思い出を漫画にし、自身のTwitterで発表しました。ユーザーからは「ドッキリみたい」「実話ですよね!?」「すごい器の人がいるもんですね」「こんな寛大な人なかなかいない」「ステキなお客さん」「びっくりするぐらいいい人」「めちゃくちゃ笑った」「本当にすごい」など、驚きの声が広がっています。