そもそもなぜ参議院はある? えっ、地方を取り残さないため?

参議院議員選挙の疑問 大学教授に聞いた1

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 第26回参議院議員選挙が22日公示されました。この機会に、少し立ち止まって考えてみます。そもそも、なぜ、参議院は存在するのでしょうか。京都産業大の中井歩教授(政治過程論)に聞きました。

 -世界には一院制の国と二院制の国があります。日本は衆議院もある二院制で、「参議院はいらないのでは?」という議論さえあります。どうして参議院があるのでしょうか。

 中井教授 たしかに一院制は効率的な統治ができる仕組みです。一方で一院制では、政治が失敗したり、行き過ぎたりすることがありうる。そこでもう一回、考える。あるいはじっくり考えるという議院を置くというのが二院制です。そういう意図でつくられた参議院は「再考の府」とか「良識の府」と呼ばれます。

 多くの国では二つの「議院」で議員の選び方が違います。例えば、英国の参議院にあたるものは一代限りの貴族を中心とした「貴族院」です。米国の上院は各州の代表者です。日本でも戦後直後は、衆議院との違いを考え、職業による代表を選ぶ「職能代表制」というものが構想されたこともありました。

 現在の日本では、参議院議員は都道府県に基づく選挙区と全国を対象とした比例代表で選ばれています。今のやり方では衆議院と参議院であまり議員の選び方が変わらないようにも見えます。

 しかし、参議院議員選挙の場合、1票の格差が衆議院より参議院の方が大きく、人口の少ないところの代表が衆議院よりも強くなるわけです。また、近年の選挙を見ても地方にある1人区が全体の勝敗を決めます。

 そういう意味では、都市部でないところの声が非常に大きく反映されやすいような仕組みになっています。地方を取り残さないという意味では、参議院は一定の役割を果たしているのかもしれません。

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 参議院議員選挙は7月10日投開票です。7月9日までは期日前投票ができるほか、選挙人名簿登録地(住民票のある場所)から離れた場所にいる人は不在者投票も利用できます。

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