「うつ病」に悩んでいた女性を救った「音楽の力」

島田 志麻 島田 志麻

ストレス社会において、メンタルヘルスが注目を集めています。ストレスは目に見えないため、自分でストレスがたまっていることに気づいていない方も少なくありません。またストレスがたまっていると自覚していても、うまく解消する方法がわからず、うつ病などの精神疾患に悩まされる方もいます。

Eさん(40代・会社員)は、夫と1人の子どもがいます。結婚前から正社員で仕事をしており、仕事と家庭の両立を長く続けてきました。しかし、40代に入り少しずつ仕事の責任が大きくなると同時に、仕事がストレスとなり、うつ病を発症しました。

「まさか私がうつ病?」受け入れられない現状

Eさんは仕事にまじめに取り組むことが評価され、会社で役職がつき責任ある仕事を任されるようになりました。

Eさんはこれまでの頑張りが評価されたのがうれしく、今まで以上に意欲的に仕事に取り組むようになりましたが、少しずつ残業が増えていくにもかかわらず仕事がたまり、自分に自信が持てなくなっていったのです。

家に帰ってもイライラしたり、ぼーっとしたり、勝手に涙が出てきたりとこれまでには見られなかった症状が出現し、夫から病院へ行くように促され受診した結果、うつ病と診断されたのです。

しかし、Eさんは自分がうつ病と受け入れられず、服薬も不定期になっていました。

自分の気持ちは誰もわかってくれない。でも音楽だけは…

Eさんは自分は病気ではないし、仕事もこのまま続けたいと強く思っていましたが、周囲は休職を勧めました。Eさんは今の自分の地位を失うのではないかと怖く、なかなか受け入れることができませんでしたが、周囲の勧めから休職しました。

そんなEさんの気持ちに寄り添ってくれたのは、音楽でした。Eさんは音楽のサブスクリプションサービスを利用しており、これまではよく音楽を聴いていましたが、仕事に追われ、余裕がなくなっていたのです。

自分なりの音楽療法

うつ病などの精神疾患の治療の一つに「音楽療法」があります。音楽療法にはいくつかの方法がありますが、Eさんは自分の好きな音楽を聴く方法を取り入れました。

自分の思いを代弁してくれるような感覚になり、時に涙を流し、自分だけが悩んでいるのではない、頑張りすぎなくてもいいと思えるようになったのです。毎日音楽を聴きながら、心の休養の必要性を自覚できるようになり、休職から1カ月で復職しました。

今は毎日通勤時間に音楽を聴き、心をコントロールできるようになったそうです。同じ歌を聴いて泣く日もあれば、頑張ろうと思える日もあったり、自分の感情の違いで、心の状態を把握できるようになりました。

現代人は何かとストレスを抱えがちです。しかし目に見えないストレスを自分でどう把握するかが大切です。また自分なりのストレス発散方法を持っていると、メンタルヘルスに役に立ちます。

無理せず、自分のペースでいかに生活できるかが、年齢問わず今の日本にとって大切なのではないでしょうか。

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