子猫が空から落ちてきた…なぜ? 右目から出血、カラスに突かれた!? 保護され危機一髪で一命とりとめた

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「空から落ちてきた子猫を保護した」

こんな連絡が長崎市内の住民から動物愛護団体「R&G長崎の保健所の命を救う会」(同市)のところに入りました。そこで、同団体の代表でプロアニマルレスキュー隊の浦川たつのりさんが現場に駆け付けたところ、段ボール箱に横たわる2匹の子猫が・・・。2匹ともに右目から出血し、ぐったりとして元気がなかったといいます。

庭で洗濯物を干していたら、目の前に空から子猫が落ちてきた 空を見上げると・・・ 

浦川さんによると、子猫たちが保護されたのは4月9日。住民が自宅の庭で洗濯物を干していたときのこと。空からキジトラの子猫(以下、キジトラ猫)が目の前に落ちてきました。驚いて見上げると、そこには地面に落ちたキジトラ猫を狙うカラスの姿が。その状況からカラスがくわえていた子猫を上から落としてきたことが分かったそうです。

目撃した住民は放っておけず急いで家の中に保護。さらに、しばらくして庭の方から別の子猫の鳴き声が聞こえて見にいってみると、庭にキジ白の子猫(以下、キジ白猫)が倒れていました。空を見上げると屋根の上にカラスが止まり、キジ白猫を狙っていたため、また家の中に保護したといいます。

浦川さんが駆け付けたときは、2匹の子猫たちはぐったりとして動かず。動物病院に急行しました。病院の獣医師によると、当時キジトラ猫が生後3週間ほど、キジ白猫が生後1週間ほど。明らかに大きさが違ったので、カラスが別の場所からそれぞれ持ってきて落とされたとみられるとのこと。骨折などはなく、けがは打撲程度で済み、眼球が損傷していましたが「失明の可能性は低いだろう」といわれたそうです。

カラスが子猫をくわえて上から落とす・・・なぜ?

こうした子猫を上から落とすという残酷なカラスの行為について、浦川さんは次のように話します。

「カラスが子猫をくわえて上から落とすという行為は、子猫を食べるためです。抵抗できなくなるまで、何回も落とそうとします。今回の保護された2匹は打撲で眼球をけがしていたものの、命に関わるものではありませんでした。カラスに食べられなくて本当に良かったです」

そんな命拾いをした2匹の子猫たちに浦川さんは、キジトラ猫を空(そら)ちゃん、キジ白猫をくう(空)ちゃんと名付けたとか。空ちゃんとくうちゃんは目からの出血も止まり、1カ月ほどで元気になったといいます。5月のゴールデンウィーク開けには里親さんも決定。今は優しい里親さんの元で幸せに暮らしているそうです。

  ◇   ◇

野良猫の置き餌にカラスが集まってくる

今回のカラスが子猫を空中から落としたという事案が起きた地域は、もともと多くのカラスが集まるエリアだといいます。今後、外にいる猫たちがカラスに襲われる被害が出ないよう、浦川さんはこう訴えます。

「最近、野良猫の置き餌を数十羽のカラスが降りてきてかっさらっているのを目撃しました。けがをした子猫がいたと思われる場所は野良猫に餌をやっている人がおり、餌を目的にカラスが集まってきていたようです。なので、お願いしたいことは、餌やりをするならば不妊手術などをして子猫を増やさないようにしてもらいたい。

それと、カラスや他の野生動物に集まってこないように置き餌をしないで、人が見ている時間帯だけ餌を与えてほしいです。お外の猫ちゃんたちは野生動物に襲われるなど厳しい環境にさらされていることを周知していただけたらと思います」

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