2020年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀ゆかりの地として知られる京都府福知山市がまた新たな企画を打ち出した。今度は市に変化をもたらす「変化人(へんかびと)」たちを紹介する「福知山の変」を提案。光秀にちなみ「本能寺の変」があった6月2日からスタートさせ、その盛り上げ役として「明智光秀そっくりさん」を発表した。一体、どういうものなのか。
この継続性と粘り腰は他の自治体も見習った方がいいかもしれない。戦国時代の武将、明智光秀ゆかりの地として知られ、あの手この手で話題を提供してきた福知山市が次なる企画を打ち出し、この2日にその全貌が明るみに出た。
地域を変革し、振興を図る人を、天下人ならぬ「変化人」と称し、福知山城の築城や由良川の治水を行った光秀のような志を持った人物を紹介していく。その名も「福知山の変」とし、まずはクラリネット奏者で起業家の吉田佐和子さんと、キャンプライフクリエイターの岩城四知さんが先陣を切ることになった。それぞれ持ち味を生かし、吉田さんが「持続可能な音楽との出会いを創りたい」と言えば、岩城さんは「福知山出身を誇りに思えるまちにしたい」と話している。
もちろん、変化人の見せ方にもこだわる。ゆかりのクリエイターが協力するが、そのラインナップが凄い。その1人、佐藤舞葉さんは、au三太郎シリーズ「みんながみんな英雄。」で日本最高峰の広告コピー賞「TCC賞」グランプリなど多数受賞。さらにNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」のポスターなどを手がけたアートディレクターの古谷萌さん、そこに写真で受賞歴のある市役所職員の吉良恭蔵さんも加わり、タッグを組んだ。
福知山と言えば、Instagram「いがいと!福知山」を立ち上げるなど、これまで数々の意外性のある企画を実施してきた。なかでもハイライトといっていいのがコロナ禍での「本能寺の変プロジェクト」だろう。歴史パロディ作家・スエヒロさんが役所ハガキに似せた「謀反のお知らせハガキ」がツイッターなどで大爆発。圧着ハガキが見る者の心をくすぐり、一連の企画は最終的に全国広報コンクールなど7つの賞を受賞した。
この成功はアイデアひとつで、意外と話題になることを教えてくれたようで今回の「福知山の変」でも単に人物を紹介するだけにとどまらず、ちょっとしたアイデアを盛り込んだ。市役所の担当者によれば、この企画に先立ち、明智光秀と現在をつなぐキーパーソンとして「明智光秀そっくりさん」を公募。謀反を起こした「本能寺の変」と同じ6月2日に発表するという作戦に出た。
そっくりさんの応募は昨年11月22日から1カ月間実施し、50人の応募があった。北は北海道から南は大分まで。福知山市在住は10人で、何とドイツからも応募があった。年齢も0歳から73歳と幅広く、彫刻やロボットの応募もあったという。
最終的には静岡県出身で現在、福知山公立大学4年生の秋山蒼さん(22)が選ばれた。家族の推薦で応募したそうで選出理由として、やわらかい印象や凛とした部分など、応募写真と光秀肖像画との類似点があったこと。また、妹さんからの「照れ屋でかなり引っ込み思案な兄ですが、真面目で他人のために尽くす冷静で温厚な人柄です」「家族思いです」など光秀のイメージと合致する推薦文などが評価されたという。
初代の光秀そっくりさんとなった秋山さんは「まさか選ばれると思っていませんでしたが、選んでいただいたからには、精一杯やらせていただきたいと思います。光秀公との共通点は世のため、人のため、できれば多くの人の幸せにつながるような仕事がしたい。そういう意味では、重なる部分があるかもしれないです」と話している。
福知山の変。今後どうなっていくか、見ものだ。