狩衣に烏帽子姿で脇息にもたれかかる公家…しかしその手にはスマートフォンが!「Twitterしてる公家」がSNS上で大きな注目を集めている。この公家の正体は"装束甲冑系ツイッタラー"の左近大夫☆浜次郎さん(@sakone_shogen)。
SNSユーザー達から
「トレンドが応天門、源信、伴善男で埋まっておる……」
「今宵のツイッタは血に飢えておじゃる」
「ぬっ!敦盛がッ!?」
「光源氏にブロックされたでおじゃる!」
「どれ、我の悪口を書いている者がいないか見てみようかのう。」
など数々のコメントが寄せられ話題になった今回の投稿だが、左近大夫☆浜次郎さんはなぜ平安時代から約1000年過ぎた令和の現代に公家装束をまとっているのだろうか?本人にお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):ふだんのご活動の内容について詳細をお聞かせください。
個人的な趣味で様々な時代の日本の装束や甲冑武具を収集し、日本の伝統文化を身近に感じて貰えるような写真や情報をツイートしております。また、コロナ禍になる前は長崎や大分にて装束甲冑の着付け体験会をはじめ、日本刀の鑑賞会などのイベントも開催しておりました。
中将:公家装束を着る活動を始めた時期やきっかけをお聞かせください。
左近太夫:子供の頃より着物や日本刀に対して強い興味を抱いておりまして、大学に通い始めて親元を離れたのを機に、収集をはじめました。元々は武家の装束や甲冑を収集していたのですが、武家の文化を知る内に段々と公家文化にも興味が湧くようになり、レンタルDVDで借りた大河ドラマ「太平記」を見たのをきっかけに公家装束も収集するようになりました。
中将:装束を入手、着用する上でこだわっていること、苦労していることをお聞かせください。
左近太夫:こだわりはやはり、他の平安装束を着る方々と色目や文様が被らないようにすることでしょうか。これはどの平安装束クラスタさんもそうかもしれませんが、後ろ姿を見ただけで「あの色目と文様は左近さんだな」と判るよう、個性を表す為に人と少しでも違う装束を注文する様にしています。故にその面倒な注文に対し熱意を理解してくれ、更には一般人の注文も受けてくれる様な装束店さんを探すのに非常に苦労しました。最近ではその装束店さんも新規の注文を受ける事が難しくなってきたようなので、現在では反物だけを注文して個人的に交流のある和裁師さんにお願いしたり、何とか自分で縫って制作したりしております。
中将:これまでのSNSでの反響や今後の抱負をお聞かせください。
左近太夫:ありがたい事に以前よりツイートに対しては度々多くの反応を頂いておりましたが、今回の「Twitterをしている公家」をはじめとする公家シリーズでは特に多くの反響を頂きまして、いままで神社仏閣や伝統芸能の鑑賞などで遠目でのみ眺めるだけだった装束に対し関心を持たれる方や、本格的な平安装束や甲冑を着て妙な事をしている者がいる等と興味を持たれる方など、様々な方々にフォローして頂いております。中には漫画家さんやイラストレーターさんより、作画の資料にしたいというご連絡も多数頂いております。そういった申し出を下さった方々には、個別にDMにて写真や資料の提供をさせて頂いております。
今後の目標としては、コロナ禍が明けましたら装束、甲冑の着付け会のようなイベントを再開したいと思います。また、もっと多くの方々に装束や甲冑、ひいては日本の伝統文化について知っていただく為にも、YouTubeや他の媒体を使っての活動も活発化させたいと思っております。そのほか、漫画家さん、イラストレーターさんに作画資料を提供するために、オンラインでの交流会や、装束、甲冑等の構造の解説動画のアップなどもしたいと考えています。
◇ ◇
公家文化のさらなる伝播のため「漫画家、イラストレーター等で作画資料等が欲しい方がいらっしゃれば、DM下されば頂ければ可能な限り写真等を提供させて頂きたい」と左近大夫☆浜次郎さん。日本の伝統ファッションの礎になった公家装束がもっと多くの人に省みられるようになることを願いたい。
左近大夫☆浜次郎さん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/sakone_shogen