「就職人気企業ランキング」は、学生が支持し、就職を希望する企業のランキングです。学生から支持を集めている企業の特徴から、仕事選びや働き方のトレンドを掴むこともできます。20代の働き方研究所では、仕事選びや就職観、働き方のトレンドを明らかにするために、株式会社学情が調査した「就職人気企業ランキング」をコロナ前(2019年調査)と、コロナ禍(2021年調査)で比較し分析してみました。
(1)コロナ前は「旅行」「レジャー」がトップ10に3社ランクイン
コロナ前(2019年)の調査では、2位のJTBグループを筆頭に、エイチ・アイ・エス(H.I.S)(現・エイチ・アイ・エス(HIS))、オリエンタルランドがトップ10にランクイン。「旅行」「レジャー」が人気を集めていたことが分かります。
(2)コロナ禍は「自宅で楽しめるエンタメ」が順位を伸ばす
コロナ禍(2021年)の調査では、2位に講談社、3位に集英社がランクイン。漫画・アニメブームに加え、講談社は「転生したらスライムだった件」「進撃の巨人」などのアニメ化や版権ビジネスが好調となっています。集英社は「鬼滅の刃」が大ヒットしました。「あつまれ どうぶつの森」がヒットした任天堂が5位に入るなど、「自宅で楽しめるエンタメ」である「出版」や「ゲーム」の人気が高くなっていることが分かります。31位にJTBグループがランクインしているものの、「旅行」「レジャー」は軒並み順位を下げる結果となりました。2021年に入っても緊急事態宣言が断続的に発出され、海外からの人の流れも、国内での都道府県をまたぐ移動も制限されたことが影響していると言えます。
(3)トップはコロナ前・コロナ禍ともに、伊藤忠商事
総合ランキングのトップは、コロナ前・コロナ禍ともに伊藤忠商事となっています。新型コロナウイルスの影響により、2021年3月期決算で、売上・利益を減らす企業が多かった中、情報・金融部門の好調などもあり、純利益で5年ぶりに商社首位に返り咲いたことがニュースとなりました。伊藤忠商事は、2020年卒の調査以降、4年連続でトップの座を獲得。4年連続の総合トップは、ANA(全日本空輸)(2016年卒~2019年卒のランキングにて1位)以来2社目で、人気の高さが伺えます。
(4)食品メーカー・消費財はコロナ前・コロナ禍ともに根強い人気を誇る
2021年調査では、4位のアサヒ飲料を筆頭に、味の素、ロッテがトップ10にランクイン。トップ10のうち「食品」が3社を占めていました。2019年調査でも、味の素とアサヒ飲料の2社がトップ10に入っています。また資生堂は、2021年調査で10位、2019年調査で7位に入るなど、「消費財」も根強い人気を集めていることが分かります。
コロナ前(2019年)の調査と、コロナ禍(2021年)の調査を比較すると、コロナ禍で「就職人気ランキング」にランクインする企業の顔ぶれが変化していることが見えてきました。2021年卒を対象にした2019年の調査では、2位のJTBグループを筆頭に、エイチ・アイ・エス(H.I.S)(現・エイチ・アイ・エス(HIS))、オリエンタルランドがトップ10に入っていました。「旅行」「レジャー」が人気を集めていたことが分かります。一方、コロナ禍での調査となった2021年調査では、電子コミックが好調な講談社、集英社が2位と3位に入るなど、「自宅で楽しめるエンタメ」が順位を伸ばしました。20代にとってメジャーな「楽しみ」が変化していることも、「就職人気企業ランキング」の結果に変化をもたらしていると言えます。
※企業名・業界名は、発表時時点で統一しています。