喰うか喰われるか!?深海ザメの珍味「鮫ジャーキー」がうまい

鈴木 博之 鈴木 博之

サメといえば、IKEAのぬいぐるみ「ブローハイ」が意外にもバカ売れで話題になっていますが、サメは食用としても身近な食べ物でもあります。中華料理のフカヒレが有名で、フライやすり潰してはんぺんや練り物にも使われていて、意外と知らない間に食べているかもしれません。

サメの中でも特に深海ザメは傷みやすく、獲れたての新鮮な肉ならば刺身でも食べられるのですが、食用としてはほとんど流通していません。

東京ビッグサイトで2022年2月行われた『健康博覧会2022』の会場で「鮫ジャーキー」という、深海ザメをつかった食品を発見しました。販売しているのは今年で創業51周年を迎える株式会社スクワラン本舗という沖縄にある会社。

ジャーキーに使われている深海ザメは水深800~1000メートルの沖縄の海に生息するアイザメ。パッケージのインパクトからジョークフードと思いきや、実はこの深海ザメの肉は肝油を採ったあとの副産物なのです。もともとは肝油を採ったあとの肉を食べたら美味しかったので、試行錯誤の末に食用として製品化したのです。

アイザメの味はたんぱくで酢味噌和えで食べるそうで、また水分が多いため天ぷらだとよく水分を切らないとポロポロと崩れるほど柔らかく脂も少ないとのこと。昔はカマボコの原料として使われていたこともありましたが、現在では肥料として使われているそうです。

鮫ジャーキーは「やみつきっ!醤油味」「あと引く辛さ!唐辛子味」「ガツンとスパイシー黒胡椒味」の3種類の味があり、「おきなわ島ふ~どグランプリ」で優秀賞に輝いています。さっそく食べてみました。

「やみつきっ!醤油味」は醤油というより味噌の風味がありました。「あと引く辛さ!唐辛子味」はたしかにあと引くためビールのつまみにぴったり。「ガツンとスパイシー味」はスパイシーですが甘みもありました。どれもサメ自体の味はわからないほどあっさりしていてクセはありません。原材料名を見ると身体に悪いものは使われていないので安心ですし、泡盛が使われているのは沖縄っぽいですね。

アイザメの肝油を精製したのがスクワレンとスクワラン

食用として使えるのはアイザメの背中の一部で全体の1~2割だそうで、他の部位は皮を剥くのが大変で手間と時間がかかり、鮮度が落ちるため使えないそうです。

サメ肉はそもそも傷みやすく鮮度が落ちると独特なアンモニア臭を発生します。さらに深海ザメともなるとスピーディに処理をしないと食用はおろか、肝油として使うのが難しいため、捕獲から加工まで最短8時間という短時間で処理するそうです。

アイザメの肝油はサプリや化粧品として使われていて、肝油から精製されるスクワレンは不飽和脂肪酸の一種で、ゼラチンのソフトカプセルで包んで販売されています。これはスクワレンには酸素を取り込む性質があり、空気を遮断していないとすぐに酸化が始まり茶色に変色してしまうからです。スクワレンは体内で酸素を補給する働きがあり、血流を良くする効果が期待されています。

ちなみに似たようなものとしてスクワランがありますが、こちらは化粧品に使われる保湿成分のことで、スクワレンに水素を添加することにより酸化しづらくさせたものです。スクワレンやスクワランの製造には高度な技術とスピーディさが求められます。

パッケージには「喰うか喰われるか!!」と刺激的なキャッチコピーがありますが、そもそもアイザメは深海で生息していますので、映画『ジョーズ』のようにビーチに現れて人間を襲うなんていうことはないためご安心を!

鮫ジャーキーは沖縄と都内にある沖縄のアンテナショップ「銀座わしたショップ本店」の限定販売のためお土産としても喜ばれるかもしれませんね。

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